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美術館 > 刊行物 > 年報 > 2002年度版 > ミロ 《岩壁の軌跡》 移動美術館 2002.8

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ミロ (Joan Miró/1893-1983)
岩壁の軌跡 (6点組)

1967年 エッチング, アクアチント・紙


「岩壁の軌跡」は、「壁の上の痕跡」あるいは、「岩壁の上の道筋」とよばれることもあり、全部で六枚から構成される。

岩の上に描かれた原始時代の絵画を連想させるかのように、毛筆で描いたような赤、黄、緑、青の太い線と、引っかき傷のような細く鋭い線が、画面各所に自由にひかれている。

このおおらかで自由な気分にあふれた画面は、気ままに画面の中に遊び、様々に空想を働かせることを見るものに誘う。

ミロは、一点限りの油彩画に比べて、版画は、自己のメッセージの届く範囲を広げることができ、しかも版画製作を通じて、自身の創造性をさらに向上させることができると述べて、数多くの版画作品をのこした。

そして版画製作に当たっても、油彩画を描くときと変わらない厳しさを持って作品の高貴さ、雄大さを追求したという。この「岩壁の軌跡」にも、そうしたミロの版画の特質が強くあらわれているということができる。


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