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美術館 > 刊行物 > 年報 > 2002年度版 > 土嶋敏男 《人と物(X)》 移動美術館 2002.8

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土嶋敏男 (つちしまとしお/1942-  )
人と物(X)

1985年 油彩・キャンバス

 

松阪市に生まれた土嶋は武蔵野美術大学で油絵を学び、初期はシュルレアリスム風の人物画などを描いていたが、徐々に文明批評的な性格を含めた思想性のある作品を制作するようになる。本作においても迫真の描写力と既成概念にとらわれないモティーフの組み合わせにその特徴が良く現れている。組み合わされた両手には深い皺が刻まれており、そこに預けられた頭髪のやつれ具合も痛々しい。工事現場を想起させる道具類は本来の役割を全うするには疲れ果てている。破れた配管やとぎれたループは未完成や中断、あるいは廃墟とも受け取れよう。そして、画面を大きく切り裂く鉄骨は、このような疲労しきった時代に大きくNOを突きつけているのかもしれない。

 
作家別記事一覧:土嶋敏男
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