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美術館 > 刊行物 > 年報 > 2002年度版 > 足代義郎 《木枯》 移動美術館 2002.8

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足代義郎 (あじろよしろう/1909-1989)

1966年 油彩・キャンバス 作者寄贈


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足代義郎 木枯

1982年 油彩・キャンバス


どっしりとした黒の全体を覆うように、重く燃えるような赤が配されている。その前面に白を基調とした女性が描かれたこの作品は、《木枯》というタイトルがつけられ、人間を突き放すような冷たい哀愁が画面を支配している。

描かれた人物が女性であることは理解できるが、その形態は女であることが理解できるぎりぎりの姿であるように、画家・足代義郎は、一貫して、あらゆる物体が持つ形のなかで、心象の表現に無用な形象を次々とはぎ取り、最小限必要な形のみに色彩を与えて画面を構成している。

この「木枯」をはじめ、「人とは何か」「愛とは何か」を極限にまで求めた足代義郎の作品群は、孤高の光芒を放っている。

1909年、伊勢市に生まれ、東京美術学校を卒業した足代義郎は、戦後に三重へ帰り、三重大学教育学部教授として後進の指導などを行い、三重の芸術文化の発展に大きな業績を残した。


作家別記事一覧:足代義郎
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