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2023~24年度特設コーナー「さわって楽しむ 柳原義達の作品」解説オンライン版

<目次>*タイトルの次の【テキスト】をクリックすると、このページの各作品の解説箇所へジャンプします。【音訳】をクリックすると、音訳ファイルが開き、再生が始まります。
1.女の首 【テキスト】【音訳
2.鳩 【テキスト】【音訳
3.道標・鳩 【テキスト】【音訳
4.柳原義達のことば 「鳩に寄せて」 【テキスト】【音訳

*このページには、特設コーナー「さわって楽しむ 柳原義達の作品」(2024年2月14日~5月12日)の会場に掲出した解説パネルの文章や音訳を掲載しています。
*1から3の解説は髙曽由子(三重県立美術館学芸員)が執筆しました。4は柳原義達の著作の引用です。無断転載はお断りします。
*パネルの文章については、点訳、音訳CDも用意しています。ご入用の方は、美術館にご連絡ください。
電話:059-227-2100 Eメール:bijutsu2★pref.mie.lg.jp(★を@に置き換えてください)

【特設コーナー「さわって楽しむ 柳原義達の作品」詳細ページ】

 

1.女の首 1948年

  


 柳原が38歳の時に作った作品。このころの柳原はしばしば親しい人にモデルになってもらい、その頭を彫刻で作っていました。柳原は、このような彫刻を作るとき、まずモデルの頭全体の形をしっかりと理解することが大切であり、それから細かいところの表現にとりかかるのがよいと述べています。また、モデルの顔や習慣をよく観察して、その人柄を表現することにも気を配っていました。
 本作は、女性をモデルにした像です。柳原は、彼女のどのような人となりをとらえているでしょうか。

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2.鳩 1960年代

 柳原は、20代のうちから彫刻家として成功しました。しかし、40歳になるころには、制作に悩むようになります。1953年から4年間、フランスへ行き、学校に通って彫刻を学び直しました。そして、帰国後にはそれまでと全く異なる作品を作るようになりました。
 本作は帰国後まもない時期に制作されました。片方がふくらみ、片方はすぼまった骨付き肉のような形です。ところどころいびつで、表面にはひっかき傷がつけられています。
 作品のタイトルは「鳩」です。ふくらんだほうに突起があり、ここが頭であることがわかります。柳原はフランス留学を経験して、人や鳩を目で見える通りに表現するのをやめていました。この作品でもくちばしや羽の表現は大胆に省略され、鳩の身体のふくらみはごく簡単な形で表現されています。両手で包んで、身体のボリュームを感じてみましょう。

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3.道標・鳩 1992年

 柳原は、鳩の美しい姿を気に入り、1960年代から晩年に至るまで、多くの鳩の彫刻を作りました。家に孔雀鳩を飼っていた柳原は、午前中に鳩やモデルをデッサンし、午後は粘土で彫刻を作ることを日課としていました。柳原は、自分のその時の気持ちによって、鳩がうれしそうに見えたり、勇ましく見えたりすると語っています。
 この作品は、柳原が85歳の時に制作されました。まっすぐに立つ鳩の姿には、作家のどのような気持ちをみてとることができるでしょうか。
 また、作品にはところどころ柳原が粘土をこねたときの指の跡が残っています。手で粘土を大胆にかきとって形を作ったのでしょうか。表面に手を添え、柳原の指の動きを感じてみましょう。
 
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4.柳原義達のことば 「鳩に寄せて」

鳩は美しい。毎日の日課になっている私の素描のときは、嬉しさに身ごとよろこんでくれる。私の鳩は孔雀鳩で、その感動は白に光り、そしてゆれ動く。
あるときは一本の足に、不思議な身動きの安定を求め、あるときは両足にヒロイックなポーズを乗せる。この籠の鳥は、私のそのときどきの意思の方向に姿をかえさせられる。
あるときは風の中の鳩になり、日向ぼっこの鳩になり、嵐の中の鳩にすらなる。私の夢が自然のなかをさまようとき、私の鳩も籠からはなれたかのように思える。自然の息吹と鳩とのかかわりがいつのまにか私の素描になってくる。見動いている不思議な命に鳩がみえてくる。私は彫刻家としての喜びにこのときはひたっているのだろう。
私の手のなかで、大気にはばたく私の鳩がいて、それは空間の動きで生命の美しさを感じる。 
『柳原義達美術論集 孤独なる彫刻』1985年、165頁、初出1980年

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