曾我蕭白《竹林七賢図(旧永島家襖絵)》
1760(宝暦10)年/紙本墨画淡彩/各172.0×364.0cm
竹にかこまれた茅ぶき屋根の建物の中で、5人の人物が談笑しています。楽しく自由な雰囲気が漂いますが、その輪から去ろうと背を向ける人、さらに一人離れてこちらを見つめる人の姿もあります。世俗を避け、竹林で語り合ったという7人の賢者が描かれた作品です。
この襖絵を描いた江戸時代中期の画家・曾我蕭白は、京都の生まれ。その経歴は謎につつまれていますが、少なくとも2度にわたり、現在の三重県を訪れ、多くの逸話と独創的な作品を遺しました。この作品は、多気郡明和町斎宮の旧家・永島家に伝来した44面の襖のうちの8面。2度目の滞在時、蕭白が35歳の頃に描いた作品です。
七賢と従者のまなざしやからだの動き、雪の重みでしなる竹などが、みる者の視線を右から左へといざないます。計算されつくした画面の構成がみどころのひとつ。さらに、七賢の俗っぽい表情や、水墨技法を駆使した質感の描き分けも見逃せません。巧みな技術に裏付けられた蕭白特有の作品世界が8面の襖に展開しています。