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表紙の作品解説 向井良吉《マネキン(FW-68)》

1952年 楷製紙 高170.0cm 杉野学園衣裳博物館所蔵
衣裳制作:杉野芳子 セーター(複製)、フレアスカート、ベルト(オリジナル) 1954年

毛利伊知郎(三重県立美術館顧問)

 向井良吉(1918-2010)さんは20世紀後半日本の抽象彫刻界を牽引した作家の一人です。敗戦体験から出発した向井さんの彫刻には、生命への畏敬、文明社会の不条理に対するアイロニーに加えて、独自の詩情をたたえて高く評価されています。
 向井さんは1937年に島津マネキンに入社しました。島津マネキンは日本でのマネキン制作会社の草分けです。創業者の島津良蔵(1901 - 1970)は東京美術学校彫刻科の卒業生で、向井さんの先輩でした。戦地から復員した向井さんはマネキン制作会社・七彩工芸を創業して社長に就任、彫刻制作とマネキン制作という二足の草鞋を履くことになります。
 向井さんはマネキン制作を積極的にとらえていました。マネキンは彫刻に比べて社会の変化を敏感に反映し、人間とも深く関っているというのが大きな理由でした。 《マネキン(FW-68)》は1952年に発表されたマネキン8種の中の一つです。ショーウインドウや店先では衣裳が主役かもしれません。しかし、向井さんはマネキンに「人間のリアリティー」を込めることに腐心したといいます。
 彫刻家荻島安二(1895-1939)、建畠覚造(1919-2006)らもマネキン制作に従事しました。彫刻家とマネキン人形との関りは、日本近現代における彫刻と人形との関係を考える上での重要なテーマの一つです。
 

(友の会だより102号、2016年12月15日発行)

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