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ふるさと知事ネットワーク美術館交流

二つの特集展示 奈良・富本憲吉と福井・岩佐又兵衛

道田美貴

 今年度、美術館2階の常設展示室第3室で、2つの特集展示を行いました。
 ひとつめの特集展示は、昨年10月1日から11月24日まで開催された「奈良県立美術館所蔵 富本憲吉」。奈良県立美術館が誇る富本憲吉コレクションの中から、代表作を展観、当館所蔵作品から、富本と交流のあった鳥羽出身の画家・陶芸家である新井謹也(1884-1966)の作品を加えてご紹介しました。ふたつめの特集展示は、1月4日から3月2日まで開催された「福井県立美術館所蔵 岩佐又兵衛」。京都・福井・江戸で活躍し、浮世絵の開祖と位置づけられている奇想の画家・岩佐又兵衛作品と、同じく奇想の画家として評価の高い、当館の曾我蕭白作品をあわせて展観するという試みでした。いずれも、一部屋だけの小規模な展示でしたが、奈良県立美術館、福井県立美術館がそれぞれ開館当初から重視して調査研究、収集に取り組んでいる富本憲吉、岩佐又兵衛の作品に当館のコレクションを交えてご覧いただきました。

 実はこの2本の特集展示は、いずれも、「自立と分散で日本を変える ふるさと知事ネットワーク」事業の一環として開催されたものです。「ふるさと知事ネットワーク」は、全国13の県知事―青森、山形、石川、福井、山梨、長野、三重、奈良、鳥取、島根、高知、熊本、宮崎―が、「ローカル・アンド・ローカル」の発想で新しいネットワークをつくり、地方自治の新しいモデルをつくろうという事業です。各種政策提言や共同プロジェクト、特産物の相互販売などが行われていますが、その一環として、各県の美術館が相互協力し、より魅力的な展示を目指す活動が福井県知事より提案されたのです。第1弾は、福井県立美術館の「版画の競演」(2013年3月1日〜3月24日)で、福井県立美術館の版画コレクション、奈良県立美術館の浮世絵版画、三重県立美術館の西洋版画が展観されました。続く、奈良県立美術館「開館40周年 館蔵名品展 曾我蕭白と中近世美術の精華」(8月3日〜9月22日)では、当館所蔵の曾我蕭白「竹林七賢図襖」(永島家旧蔵)、「許由巣父図襖」、「松に孔雀図襖」が紹介されました。

 その後も、福井県立美術館で、青森県立美術館、棟方志功記念館所蔵作品による「生誕110年記念 棟方志功展」(〜3月23日まで)が開催されるなど、美術館交流事業は続いています。
 今回の「ふるさと知事ネットワーク」事業に限らず、当館では、これまでも愛知・岐阜・三重による三県立美術館協同企画をはじめ、他館との交流、所蔵品の積極的な活用に取り組んできました。美術館業界が厳しい状況に置かれている今、コレクションを軸にした、密度の濃い多様な展示を行うことはますます重要になっていくでしょう。今回の特集展示が、富本憲吉、岩佐又兵衛という個性的な作家の芸術世界を楽しむだけでなく、美術館のコレクションについて考えるひとつの契機となれば幸いです。

(友の会だより94号、2014年3月31日発行)

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