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三重県総合博物館 > コレクション > スタッフのおすすめ > ベスト半裁判フィルムカメラ「ベビーパール」

ベスト半裁判フィルムカメラ「ベビーパール」

資料名 ベスト半裁判フィルムカメラ「ベビーパール」
時 代 昭和前半期
資料番号 JR000721 寸 法

幅9.8p

奥行8.5p

高10p

解 説

 みなさんは、どのようなカメラで写真を撮ってみえますか。少し前まで写真といえば、カメラにフィルムを入れて撮影し、撮り終えたフィルムを写真屋さんで現像・プリントしてもらうのが常識でした。しかし、最近10年程の間にデジタルカメラが急速に普及し、今ではフィルムカメラを見かけること自体が稀になってしまいました。
 今回ご紹介する資料は、今から数十年前、フィルムカメラが一般に普及しはじめた頃の国産カメラです。その名前は「ベビーパール」。六櫻社(小西六本店、後のコニカ)が昭和9(1934)年から第二次世界大戦後の昭和25(1950)年頃まで製造した小型カメラで、ドイツのツァイス・イコン社が昭和7(1932)年に発売開始した「ベビーイコンタ」をモデルに作られたとされています。
 このカメラは、スプリングカメラと呼ばれる折りたたみ式カメラで、本体側面のボタンを押すと、内蔵されたスプリングの力によって前蓋が開き、蛇腹で本体と連結されたレンズボードが撮影位置に自動的にセットされます。レンズは六櫻社自社製のヘキサー(Hexar Ser.)T50o/F4.5が装着されています。他にヘキサーT50o/F3.5や、旭光学合資会社のオプター(Optor)50mm/F4.5 及び オプター50mm/F6.3が使用されているモデルもあります。シャッターも自社製のロックス(Rox)です。シャッタースピードはB、1/25、1/50、1/100の4段階で、シャッターボタンは無く、レンズ横のレリーズレバーを動かせば何度でもシャッターが切れて露光が可能な機構となっています。ファインダーは本体側面にある折り畳み式の簡素なもので、写る範囲をおおよそ知ることができる程度です。
 使用するフィルムは、120ロールフィルム(ブローニ判)より幅が狭い127ロールフィルム(ベストフィルム)です。このフィルムは、4cm×6.5cm判(ベスト判)で8枚撮りが標準ですが、このカメラではその半分の4cm×3cm判(ベスト半裁判)の画面サイズで16枚撮りとなります。フィルムの巻き上げは、本体側面の薄い円形のノブを手回しするもので、背面の赤い小窓にフィルムの裏紙に書かれた番号が出る仕組みとなっています。なお、127ロールフィルムは日本ではもう生産されておらず、わずかに流通するドイツとクロアチアのフィルムメーカーの製品か、120ロールフィルムをカットする自作以外に入手方法はないようです。
 ピントは目測で調整し、露出計・シャッターボタンもない簡素な構造であるため、撮影は撮影者自身の経験に大きく左右されたようです。しかし、折りたためば10p×7.5p、厚さ3.4pと極めてコンパクトなサイズになり、ポケットにすっと入れて軽快に持ち運びができます。当時の販売価格はよくわかりませんが、25円以上との調査結果もあり、普通のサラリーマンの月給が50円から60円の時代にあっては高級品のひとつであったと思われます。
 このカメラを製造した小西六本店・六櫻社は、小西六、小西六写真工業、コニカと社名を変えながら国産カメラ・フィルムのリーディングカンパニーとして発展してきましたが、ミノルタと合併してコニカミノルタとなった後、現在はカメラ・フォト事業を終了しています。ベビーパールはその往年の名機のひとつとして、「カメラレビュー」創刊号(1977年10月)が特集した日本のカメラ名機50選に選ばれました。
 さて、このカメラでどんな写真が撮影されたのでしょうか?いまは大きく様変わりしてしまったかつての街の風景、有名な名所旧跡、楽しい旅の思い出などなど、そして、家族の大切な日の記念写真も写されたことでしょう。クラッシクカメラとともに、そのような古い写真も私たちの暮らしの歴史を知る大切な資料です。

ベビーパール

正面から

折りたたんだ状態

 

カメラ本体と革製ケース

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