有節萬古窯跡

ゆうせつばんこようあと


有節萬古窯跡

指定区分

指定種別

史跡

指定・登録日

市町

朝日町

所在地

三重郡朝日町小向字名谷

所有者

-

員数

-

構造

-

年代

江戸時代末
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関連資料

概要

 本窯跡は、有節(ゆうせつ)萬古(ばんこ)」又は「復興(ふっこう)萬古(ばんこ)」と呼ばれる、19世紀の萬古焼きの窯跡である。萬古焼は、元文年間(1736~1740)に桑名の豪商沼波弄山(ぬなみろうざん)が小向(おぶけ)村(現朝日町小向)に窯を築いたことに始まる。この時期の萬古焼が「古萬古」と呼ばれる。その後に一旦途絶え、森有節が天保3(1833)年に同地で萬古焼を再興した。これは「有節萬古」又は「復興萬古」と呼ばれ、後世の桑名萬古や四日市萬古に大きな影響を与えた。現在の萬古焼は四日市市を中心に生産され、国の伝統工芸品に指定されている。
 当窯跡の発掘調査は、平成16年12月から朝日町教育委員会によって実施された。範囲確認調査であるために完掘しておらず詳細は未詳だが、全長約17m、幅約3.6mの規模をもつ連房式(れんぼうしき)登窯(のぼりがま)である。窯体(ようたい)の全体が残存しており、東側の側壁や燃焼室及び焼成室の奥壁が特に良く遺存していた。焼成室の数は未確認だが、焼成室の奥壁はレンガを横長に配置して築いている。側壁に設けられた筒状の土製品は、色味孔や焚口などの構造物と思われる。煙出しは、間隔をおいてレンガを配置し、その隙間から煙が抜けていく構造になっている。
 出土品には、鉢や皿・土瓶・水指・染付磁器などがあり、その中には「日本有節」や「有節」、「萬古」の印を残すものもある。従来の萬古焼の研究は伝世品に依存することが多かったが、今回の発掘調査によって初めて「有節萬古」の窯の構造や作品の実態が明らかになった。
 この窯跡の調査成果は、今後の万古焼きの研究に大いに寄与するものと思われ、本窯跡は万古焼きの歴史を知るうえでの基準となる遺跡として貴重である。

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