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街道沿いに立ち並ぶ建物は文化財指定を受けているなど歴史的価値のあるものが多く、また、道標や常夜燈、古木などは今なお街道の目印として残されており、旅籠には全国各地の参宮講札が残っているなど、人物往来をうかがい知ることができます。 |
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川や森、海などの自然はそこに生きる人々の暮らしを支える資源であり、地域の幸を育む源です。時間や季節によって移り変わる自然の景観は人の心を楽しませ、和ませてくれます。また切妻、連子格子、犬やらいなどは昔ながらの街並みの景観を形成しています。 |
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多くの人や物が行き交いながら情報や知恵が蓄積された街道。その中から伝統工芸や食、学問といった様々な文化を育んだ先人たちの価値観や思想は、現在においても人の心を感じさせ、刺激し、豊かな未来を創造するヒントを与えてくれます。 |
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まつり、伝統芸能、伝統行事は地域の歴史や人々の自然観や社会観、人生観などを色濃くあらわし、それらは地域を知る重要な手掛かりであるとともに、地域内のヒューマンネットワークを維持し、人と人、地域と地域をつないでいます。 |
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参宮道者の往来が激しかった三重の街道には、旅人をもてなす心がありました。その心は歴史や民話、郷土料理などに今でも受け継がれています。こうした心は人の情操を育み、精神的なゆとりや充実感を与えてくれる要素となっています。 |
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古の旅人はそれぞれ街道の行く手に大きな希望や憧れを抱いていたに違いありません。三重の街道には様々な交流があり、情報が運ばれ、人々が共に様々な可能性や希望に胸を膨らませ、そしてその思いが国土をつくり、未来を開く力になってきたのです。 |
このような魅力を考えると、街道は単なる道ではなく、地域固有の歴史文化や環境そのものを形作ってきた
「時間や空間を超えた人々の暮らしのステージ」であると言えます。そして地域形成の原点であるこの街道こそ、
21世紀の暮らしづくり、地域づくりの資源として、今もっとも注目すべき存在であると言えます。