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74 県内の森林面積とゴルフ場開発


Q 県内にも多数のゴルフ場がオ─プンしていますが、昭和三十年から最近までの県内の森林面積及びゴルフ場の推移を教えてほしい。

(平成九年八月 行政機関)
A 昭和三十年十一月、三重県で初めてのゴルフ場が志摩郡阿児町地内に開設しました。このときの県下の森林面積は約一七五、〇〇〇ヘクタール、ゴルフ場は一ケ所で、その面積は約五〇ヘクタールでしたが、平成四年時点での森林面積は約一六四,〇〇〇ヘクタール、ゴルフ場は五四ケ所で、その面積は約六、七〇〇ヘクタールとなっています。比較してみると、森林面積の方は約六%程減少していますが、ゴルフ場面積の方では約一三〇倍にも激増しています。このことから、単純に県内の森林面積減少の原因がゴルフ場激増にあるとは断定できませんが、一つの要因には数えられるでしょう。
 次に、三重県のゴルフ場開発に関する推移を見てみます。昭和四十八年、「ゴルフ場等の開発事業に関する指導要綱」により、五ヘクタール以上の開発には、事前協議を取り入れた設計審査基準を設けました。しかし、その後も不動産取引の活発化による民間企業の開発が相次ぐ中で、ゴルフ場開発も県下の特定地域に集中しました。……  そこで、四十九年に「ゴルフ場開発事業の抑制に関する暫定措置要綱」を定め、望ましいゴルフ場の面積を市町村面積の二%以下とし、ホ─ル数を規制しました。ところが、ゴルフ人口の増加もあり、市町村からは雇用・税収の増加を図る見地から規制の見直しが求められ、六十一年には「暫定措置要綱」の廃止と「指導要綱」の改正や環境影響評価の導入及び投機的土地取引の抑制強化を図りました。
 そして、平成景気の開始とともにリゾ−ト開発ブ−ムと相まってゴルフ場開発も過熱してきました。しかし、一方では、ゴルフ場開発に伴う自然環境破壊やゴルフ場で使用する農薬の上水道源に及ぼす影響などが問題とされてきました。ゴルフ場開発に対する市民の反対運動も多く起こり、平成元年に「指導要綱」を改正して、再度のゴルフ場開発抑制措置をしました。
 これは、原則として特例地域を除いて「当分の間県下のゴルフ場の開発行為の事前協議は受け付けないこと」とし、また「上水道水源地に影響を及ぼさないこと」などが強調されたのです。さらに、三年には、「土地利用計画・総合計画等に位置付けがあることを原則とすること」や「開発地区内の自治会の同意を求めること」なども要件となり、ゴルフ場開発が抑制強化されて現在に至っています。

参考文献

『三重県統計書』 昭和三十年・平成四年
『三重県史』資料編(現代1) 平成四年

グラフ 県内ゴルフ場数と面積

グラフ 県内ゴルフ場数と面積

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