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鹿子木孟郎「狐のショールをまとえる婦人」:X線連動比較画像   作品詳細

この作品も浅井忠《小丹波村》と同様、格天井(ごうてんじょう)型のパネルに張り直されています。こうした頑丈なパネルに張り込まれることによって、輸送などによるキャンバスの振動を防ぐことができます。今から110年も昔に描かれたにもかかわらず、絵具の剥落した部分が画面の左上部などごくわずかなのはこのパネル張りによるところが大きいといえます。ただし、こうしたパネル張り処置によって、木枠に張られたキャンバス布本来の「やわらかで繊細な感じ」は失われています。婦人の顔の部分に注目すると、明暗表現だけでなく、筆のタッチと筋肉の流れとが的確に対応した表現がなされていることがわかります。