原田直次郎「老人像」:X線連動比較画像   作品詳細

この作品は、原田がミュンヘンの美術学校に在籍していた頃の作品と考えられ、おそらくこのモデルを前に複数の学生がイーゼルを立てて写生しているものと思われます。エックス線写真では、人物の形態に沿った筆のタッチと明暗の調子の白色絵具による明快な使い分けが見て取れます。また左上に何かが描かれていますが、それが消されていますし、右下部でも胸に手をあてたその肘のあたりに大きな変更があります。いずれも人物をひきたたせるための改善処理で、教授からの修正指導が入ったのかもしれません。作品の周辺が切り取られ合板に張られているため木枠の像はエックス線では見えません。