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7 県下の薬師如来像


Q 先日、博物館で薬師三尊像を拝観しました。薬師如来の両脇に立つ仏像の名前と手に持っているのは何ですか。また、三重県下の例で主要なものを教えてください。

(平成九年四月 県内個人)
A 薬師如来は、正式には「薬師瑠璃光如来」と称し、東方浄瑠璃世界と呼ばれる浄土に住むとされています。『薬師瑠璃光如来本願功徳経』などには十二の願を立てて成就したことが記されていますが、その中の寿命を延ばし、病気や貧困を除いて安楽を与えるといった現世利益的な面が注目され、古来より多くの信仰を集めました。その姿は、普通、左手に薬壺を持っているのが特徴ですが、古くは持たないものもあります。
 薬師如来の両脇に立つ仏像は、向かって右(左脇侍)が日光菩薩、向かって左(右脇侍)が月光菩薩と言います。それぞれ手には日輪と月輪を持っており、時には蓮華茎の上に日輪・月輪を頂くこともあります。
 三重県内の代表的な例としては、津市片田の薬師堂に伝来している薬師三尊像(管理者:光善寺)があげられます。三尊とも平安時代(一〇世紀)の作で、県下では最も古い薬師三尊像です。
 このほか、嬉野町薬師寺の薬師如来立像、鈴鹿市神宮寺の薬師如来立像、二見町明星寺の薬師如来坐像など、平安時代後期の優れた像をあげることができ、同時期の日光・月光菩薩像が上野市蓮徳寺に伝来しています。
 なお、薬師如来の眷属として信者を守護する役目を持つのが十二神将です。薬師如来の十二の大願に応じて現れる分身とも言われています。薬師三尊の両側に、六体ずつ安置されることが多く、県下には平安時代や鎌倉時代にまで遡るものはありませんが、近世期の像が多く作られています。

参考文献

『三重県の文化財』 三重県教育委員会 平成八年

薬師如来坐像(西盛寺)

薬師如来坐像(西盛寺)

薬師三尊像(光善寺)

薬師三尊像(光善寺)

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