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みえの文化びと詳細

地域 北勢地域
名前 小原 喜夫

小原 喜夫さん (作品「天河」の前で)
小原 喜夫さん (作品「天河」の前で)

プロフィール 1946年 三重県生まれ
1980年〜国画会展
1990年 中部国画賞
1992年〜版画伍人展
1992年 韓日現代版画交流展
1993年 第2回さっぽろ国際現代版画ビエンナーレ展
1994年 天理ビエンナーレ展
      日仏現代美術展佳作賞(パリ・ロンポワン・モンテーニュ、東京他)
1995年 カダケス国際ミニプリント展。東京国際ミニプリント・トリエンナーレ展
1996年 第70回記念国展会友優作賞
1997年 国画会会員
     北京・名古屋現代版画交流展
1998年 第31回文化庁主催「現代美術選抜展」
2004年 福光棟方記念版画大賞展奨励賞
2010年 第10回環太平洋アート展カナダ文化交流協会賞(東京、中国、カナダ)
2011年 高知国際版画トリエンナーレ展
2012年 ジャパンアートフェスティバルインバレンシア2012・バレンシア市立美術館長賞準大賞

作品収蔵:バルセロナ大学美術学部、北京・国立中央美術学院、多摩美術大学美術館、パラミタミュージアム、美和町文化会館、関宿素描館。
記事 ◆絵を描いたり、歴史の勉強が大好きだった小原さんにとって忘れられない思い出があります。高校1年生の春休み、国語担当の二五先生に連れられて、奈良の薬師寺と唐招提寺を訪ねました。そこで見た薬師寺の水煙の美しさに衝撃的な感動をうけ、美術の世界を目指すきっかけとなりました。
 その後自動車企業へ勤務しながら、休日は大和路や京都を頻繁に訪ねました。歴史に関する同人誌の自費出版にも意欲的でした。そのころ幸運な出会いにも恵まれました。
 写真家の入江泰吉氏との交流でした。氏の写真を使わせてもらい自費出版したことは大きな財産となっています。

◆美しいもの、古いものへのあこがれは強く、特に大和路のお寺や仏像に魅せられ万葉の世界に惹かれていきました。「万葉の恋歌を犬養節で口ずさむ感覚で、ビートルズの“抱きしめたい”を歌っていました。感じる心は共通していてとても自然な感じでした」と当時を振り返ります。
 28歳の時、棟方志功の版画に惹かれ木版画を始めました。
 四日市市富田の世界的な木版画家、木下富雄氏に教えを受け、版画に夢中になりました。木下氏の、伊勢湾台風による被害に苦しむ人々の苦悩をモチーフとしたやさしい眼差しの作品から多くを学んだと言います。同じく富田出身の佐藤宏氏の作品からも深く影響を受け、二人を恩師として、また郷土の誇りとして敬愛し続けています。

◆51歳の時、国画会会員となり、以来精力的に創作、出展を続けています。作品は主に大和を中心テーマとしています。大和には、自然と人間の精神が融合したアニミズムが感じられ、自身の版画作品の原点もそこにあると語ります。
 美しいものに出会うためには、国内外へも出かけ、感性を研ぎ澄まし、情報をキャッチ、イメージを膨らませます。その感動を、「天河」大和シリーズで彫り続けています。奥深い自然から得た題材を、下絵なしで直接彫り進め、また“人工の漆を垂らしながら線を描き繊細で根気のいる手法はオリジナル”と自認する小原さんは、国内外からも高い評価を受け数々の賞に輝いています。

◆2005年、「四郷版画館」を開館しました。版画の蒐集も増えたこと、展示スペースが欲しいと温めていた夢を実現することができました。
 明治期の起業家を輩出し、近代化の先駆けとなった四郷の地で、しかも小原さんが幼い時期から多感な青春時代を過ごした愛着の地で開館、不思議な縁を感じたといいます。
 開館記念は、木下富雄、佐藤宏両氏との「木版画三人展」からスタートしました。
 開館から10年目となる今、「地元に親しまれ文化の発信基地の役割を私なりに果たせたかと思っています。」と謙虚に振り返ります。健康と自由な時間に恵まれ、好きなことを思う存分やれる今、人生の充実期、と楽しそうに語る小原さん。「私の熱中時代はまだまだ続きそうです。」と創作への意欲と情熱をにこやかに語ってくださいました。
四郷版画館1階展示室
四郷版画館1階展示室
四郷版画館2階展示室
四郷版画館2階展示室
問い合わせ先 携帯:090-2133-0431(小原 喜夫)
e-mail  
ホームページ 四郷版画館ホームページ
取材機関  
登録日 平成26年6月25日

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