みえの文化びと詳細
地域 | 伊勢・志摩地域 |
---|---|
名前 | 中野 結衣
|
プロフィール | 度会郡玉城町在住。彫刻家でありながら、一刀彫作家としても活動している。 【略歴】 1988年 三重県生まれ 2006年 三重県立松阪工業高等学校 繊維デザイン科 卒業 2008年 女子美術大学短期大学部 造形学科 彫塑専攻 卒業 2010年 多摩美術大学 彫刻学科 木彫専攻 卒業 【展覧会】 2008年 木との語らい展 (聖路加国際病院/東京)(2009年、2012年出品) みえの20代作家〜アートの交差展〜(松阪市文化財センター) 女子美術大学短期大学部 卒業制作展 2008 2009年 「乙女荘」展(多摩美術大学 彫刻ギャラリー/東京) 2010年 多摩美術大学 卒業制作展2010 東京五美術大学連合卒業・修了制作展 横浜ヴァージンフェスタ2010(大さん橋ホール/神奈川) 「二人の世界」展 (伊勢シティホテル)(以後、連年出品) 2011年 元麻布モデルルームにて展示 (東京) 2014年 とこわかグループ展 (外宮参道 伊勢菊一) YUI NAKANO-exhibition-彫刻と一刀彫(ギャラリーFABulous/東京) 【受賞歴】 ・2011年 中部二科展 入選・特選 ・2012年 中部二科展 中部二科賞・CBC賞 ・2012年、2013年 二科展 入選 ・2013年、2014年 中部二科展 特選 |
記事 |
柔らかい雰囲気の中にも、芯の強さを感じさせる女性。 気鋭の若手彫刻家 中野結衣さんは、彫刻作品の制作をする一方、一刀彫や新たな工芸品の開発などにも取り組んでいます。 「しゃべるのは下手で……」という中野さん、話し始めると美術への想いに溢れていました。 【彫刻との出会い】 幅広い美術の知識を得るために松阪工業高校繊維デザイン科に進学しました。 テキスタイルデザイン、グラフィックデザイン、建築デザイン、油画、繊維、伊勢型紙……3年間で様々なことを学びました。そして、高校生活の集大成、卒業制作。 「一番の思い出は、当時高校生では珍しい等身大の石膏取りをしたことです。青い空間(絵)を観ている等身大の自分自身をつくりたかったので、自分の裸を見て制作に取り組めるようにと、階段下の物置部屋を個室として確保してもらいました。塑像(※芯に粘土をつけて像をつくること)をしたことがなかったので、像の骨組みとなる芯棒の作り方から、粘土のつけ方などを担任の先生にアドバイスしていただきました。 9月〜12月の制作期間を全て塑像に費やし、冬休みの約1週間、副担任の先生に手伝っていただき石膏取りをしました。石膏を溶く入れ物に余った石膏が固まると洗うのが大変で、冬の寒い中、指がちぎれそうになりながら洗ったのも、先生と一緒に乗り越え、今となってはいい思い出です(笑)」 この制作経験が、油画専攻での進学を考えていた中野さんを彫刻専攻へと導いたのでした。 【三重に帰って】 大学卒業後、地元の三重に帰ってきた中野さん。知り合いの紹介で小林扶由さん[みえの文化びと(伊勢・志摩地域)平成18年3月8日登録]と出会いました。 小林扶由さんは、女子美術大学短期大学部の先輩であり、現在中野さんがアシスタントを務める“アトリエ・コバ子ども美術塾”の先生でもあります。様々なお話から刺激を与えてくれる扶由さんは、上司でもあり、何でも相談できる友人のような存在だと中野さんは話します。 「若いうちは若いというだけで声がかかる。私は全てを引き受けてきた。断ってしまえばチャンス(人との出逢い・仕事)を逃してしまうから」。中野さんはこの言葉を胸に、今も人との出逢いを特に大切にされています。 そして、扶由さんをはじめとする、上の世代から多くを学んできた中野さんは、次の世代に繋げていく為にと子どもたちに美術を教えています。 「生徒皆に作家になって欲しいという訳ではないのです。子どもたちが将来、美術というもので豊かな気持ちや生活を持てればな、と思っています。指導しながら、自分自身も生徒から学ばせてもらうことが沢山あります」 制作したものを一年に一回展示発表している子どもたちに、指導者の普段の作品をみてもらいたいという思いもあり、扶由さんとの二人展を2010年から続けてきているそうです。 【一刀彫】 宮大工が伊勢神宮の御残材を使って彫り始めたのが一刀彫の起源といわれています。 一刀彫は美しい木目を活かしたまま、素材を磨いたり彩色をしたりしないため、彫り跡の味わいや木目のあたたかみ、素朴な中にある力強さを感じることができます。 大学卒業後から伊勢一刀彫師 岸川行輝さんに師事し、伊勢神宮の干支守りの制作に加え、自身の作品作りをしています。 中野さんの作品には、おかげ参り蛙や代参犬、神鶏など伊勢ならではのデザインが多くあり、どれもとても愛らしい表情をしています。 【これからの活動、若手作家ならではの活動】 年に4〜5回、展覧会や個展で、彫刻家としての作品発表を続けていきます。 「多摩美術大学の卒業制作からつくり続けてきた『大地』をテーマに、観た人の喜怒哀楽、何らかの感情を少しでも動かせるような作品をつくっていきたいです。アートを特別なものとせず、皆がもっと親しみをもって、生活に上手に取り入れられるようになっていってほしい」と将来の展望を抱きます。 また、日本が長年に渡り培ってきた文化である伝統工芸品を、一人でも多くの人に知ってもらいたいと、若手工芸作家で結成したグループ「常若」での活動もしています。若手作家ならではの発想で新たな工芸品の開発をし、日本の伝統的な技や美しさを身近に感じてもらえるよう、根付や漆芸などジャンルを超えた仲間と共に、一刀彫作家の活動にも精力的に取り組んでいきます。 大地-2012- 伊勢一刀彫 神鶏 |
問い合わせ先 | |
sparrow.urika@gmail.com | |
ホームページ | |
取材機関 | 南勢志摩地域活性化局 |
登録日 | 平成26年7月24日 |