萬鐵五郎「山」:X線連動比較画像   作品詳細

1915(大正4)年に描かれた、暗く沈んだ印象を受ける作品ですが、下地(地塗り)が薄く、しかもその塗料が白色でないところがその暗さの理由のひとつとなっています。雲の部分などは筆で勢いよくシルバー・ホワイトを使用し、それがある程度固まってのち、上から茶色や青の絵具が薄く塗りこめられています。一度だけ張り直された以外はこれまでほとんど修復の処置が行われてこなかったため、エックス線画像にも亀裂を多く確認することができます。上部左側、水平に伸びる黒い線はエックス線フィルムを現像した際に生じた斑(ムラ)です。