安井曾太郎「女立像」:X線連動比較画像   作品詳細

留学中に描かれた《裸婦》にみられる複雑な描き方とは大きくことなり、この作品ではモデルの明暗と量感が単純化されています。エックス線画像をみると、途中の段階では完成作品よりも頭部が傾いていたことがわかりますが、その傾き具合を変更することで、身体のすべての部位が描き直されています。この画家のそうした冷徹な観察力と表現によって、この作品が描かれた数年後に安井様式といわれる独自のスタイルが花開きました。作品の周囲には釘の映像も写っていますが、ほとんどはステンレス製ガンタッカーの針が打ち込まれています。この針が打たれている作品は裏面になんらかの補強が行われていることがほとんどで、この作品も新たな布による補強がなされています。