東方朔図


コレクション

小津家寄贈

ジャンル

-

作者名

月僊
GESSEN

制作年

制作年不詳

材料

絹本着色

寸法

109.7×62.5

署名

右上: 月僊 「寂照主人」(白文方印) 「月僊」(朱文方印)

寄贈者

旧小津家寄贈

来歴

-

初出展覧会

-

作品名欧文

Dongfang Shuo
関連資料

解説

画面右方から枝を伸ばす桃の木と、あたりを見回しながらその大きな桃の実に手をかける男性がひとり。周りの様子をうかがいながら、差し足で桃に近づき、不自然に体勢を低く保つ男性の様子から、桃を盗んでいるのだと気付く。この絵の主役、つまり桃を盗んでいる人物は、東方朔といわれる中国の仙人である。西王母の桃を盗んで食べ、八百歳もの長寿を得ることができたとして知られるこの仙人は、おめでたい画題としてしばしば描かれる。この作品では、背を丸めた人物の身体と桃の枝が絶妙のバランスで配されているが、緊張感のある画面構成によって、桃の実を盗むという場面の緊迫感をよりいっそう高めているといえる。さて、構図とともに注目すべき特徴は、西洋風の表現を用いているという点であろう。東方朔の顔や手には陰影がほどこされ、桃は、葉の表と裏の色が使いわけられるなど写実的に描かれている。月僊はその人気ゆえに乱作におちいるが、本作品は、細部まで丁寧に描かれ、なおかつ月僊の洋風画への興味があらわれた貴重な作品である。
(県立美術館学芸員・佐藤美貴)

展覧会歴

村松以弘ゆかりの画人展(掛川市二の丸美術館 2002)
縁起もの 版画と絵画で楽しむ吉祥図像 (町田市立国際版画美術館 2013)
夷酋列像―描かれたアイヌの「英雄」たち―(北海道博物館、国立歴史民俗博物館、国立民族学博物館 2016)
開館35周年記念Ⅰ ベスト・オブ・コレクション―美術館の名品(三重県立美術館 2017)
梅 桃 桜展(石水博物館 2018)
特別展 画僧月僊(名古屋市博物館 2018)
円山応挙から近代京都画壇へ(東京藝術大学大学美術館、京都国立近代美術館 2019)

文献

週刊江戸46号((株)デアゴスティーニ・ジャパン発行、2010)
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