ムーランルージュのイギリス人
コレクション |
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ジャンル |
版画 |
作者名 |
トゥルーズ=ロートレック、アンリ・ド TOULOUSE-LAUTREC, Henri de |
制作年 |
1892年 |
材料 |
リトグラフ・紙 |
寸法 |
47.5×37.0 |
署名 |
左下: ALautrec No 5 |
寄贈者 |
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来歴 |
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初出展覧会 |
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作品名欧文 |
The Englishman at the Moulin-Rouge |
関連資料 |
解説 |
パリのモントマルトルにカフェ・コンセール「ムーラン・ルージュ」が開店したのは一八八九年十月のこと。看板がわりの派手でどぎつい「赤い風車」が目当ての、ここにくれば、いつでも骨無しヴァランタンやラ・グーリュの人をくった踊りが見られるが、それだけではないと、見物に浮かれながら恋を夢見る若い女、下心をかくした成金趣味の男たちが密に集まる蜂(はち)のようにあとに続き、ムーラン・ルージュはたちまちパリの歓楽地図の上の第一の名所となった。 ロートレックもまた常連として毎夜のようにこのホールに足をはこんだ。彼は踊れない。酒をのむだけであるが、じつにおびただしい作品がこの恋の市場に霊感を得て生まれたのである。 山高帽をかぶって紳士然とした男が、派手な衣装の女と向き合っているのもやはりムーラン・ルージュの一角。金がかかったみなりの裏側に牙(きば)をかくして獲物を狙う、そんな駆け引きのなかで、どちらがつかまって、どちらがつかまえられたのか。背中をみせる女をよくみれば目鼻をはじめ、ほとんど一筆で描いて、浮世絵の線を思わせるが、ロートレックにはもっと人間くさいところがある。職人の手の動きを抑えた分だけ芸術家の目が光っている。そしてその目はけっこう澄んでいたりするのがおもしろい。 (東俊郎 中日新聞 1996年6月21日掲載) [作品名(フランス語)] L'anglais au Moulin-Rouge |
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展覧会歴 |
プリント・ワンダーランド 親と子でみる版と版画(平塚市美術館 1995) 歿後100年 トゥールーズ=ロートレック展(サントリーミュージアム天保山、東武美術館 2000-2001) 西洋の誘惑(群馬県立近代美術館 2004) ロートレック・コネクション(Bunkamuraザ・ミュージアム、北九州市立美術館分館、ひろしま美術館 2009-2010)no.44 |
文献 |
『フランスの色 コロナ・ブックス』(平凡社 2010)p.61 |