沼の落日
コレクション |
- |
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ジャンル |
絵画(油彩画等) |
作者名 |
フォンタネージ、アントニオ FONTANESI, Antonio |
制作年 |
1876-78年頃 |
材料 |
油彩・キャンバス |
寸法 |
39.5×61.0 |
署名 |
右下:A.Fontanesi Tokio 29 Au□□ |
寄贈者 |
公益財団法人岡田文化財団寄贈 |
来歴 |
三條公輝旧蔵 |
初出展覧会 |
- |
作品名欧文 |
Sun Setting on the Marsh |
関連資料 |
解説 |
北イタリア出身のフォンタネージは、フランスのバルビゾン派の自然描写や、イギリスのターナー、コンスタブルの光の表現に強い影響を受け、詩情豊かな風景画を得意とした。 1876(明治9)年、日本で最初の官立美術学校である工部美術学校(工部省工学寮美術学校)創設に伴い、絵画担当の講師として来日。小山正太郎、浅井忠、山本芳翠ら明治前半期の洋画家たちに西欧における絵画の技術と知識、思想を伝授した。しかし、持病の悪化や他の要因が重なりわずか2年で帰国し、1882年にトリノで死去した。 本作は、画面右下にある「Tokio」の文字や、東京・上野の不忍池での写生をもとにした他の油彩画との類似から、日本滞在時の作品と考えられる。全体に落ち着いた色調で描かれる中、沈みゆく日の光と赤く照らされた空と水面が際立ち、作者の自然に対する深い洞察力と確かな技術をうかがわせる。工部美術学校の生徒たちが目にしたとも思われ、本作によく似た日本人画家の作品も伝わる。 (原舞子 『三重県立美術館 コレクション選』 2022年) |
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展覧会歴 |
日本洋画のれきし 三重県立美術館コレクションによる(茨城県近代美術館 2000) no.1 珠玉の近代絵画~岡田文化財団コレクションより~(四日市市立博物館 2001) 岡田文化財団コレクション—珠玉の近代絵画展(そごう美術館・横浜 2004) 府中市美術館開館10周年記念 バルビゾンからの贈りもの(府中市美術館 2010) 生誕140年 中澤弘光展(三重県立美術館、そごう美術館 2014) 開館35周年記念Ⅰ ベスト・オブ・コレクション―美術館の名品(三重県立美術館 2017) 黄昏の絵画たち(山梨県立美術館 島根県立美術館 神戸市立小磯記念美術館 2019) コレクションによる特別展示 春をまちわびて 美術から考える自然との調和(=エコロジー)(三重県立美術館 2022) 洋画の青春―明治期・三重の若き画家たち(三重県立美術館 2024) |
文献 |
MARCO CALDERINI, Antonio Fontanesi, Pittore Paesista. 1818-1882. Paravia, Torino 1901. 2ed. Lattes, Torino 1925. CARLO CARRA, Fontanesi "Valori Plastici" ed., Roma 1924. MASSIMO CARRA, Antonio Fontanesi. "I Maestri del colore" n.122 Fratelli Fabbri, Milano s. d. [1966] MARZINO BERNARDI, Antonio Fontanesi. E. R.I.., Torino 1967. 隈元謙次郎『明治初期来朝伊太利亜美術家の研究』 (三省堂 1940年) PL. 4 フォンタネージ、ラグーザと明治前期の美術展 東京国立近代美術館 1977 井関正昭『画家フォンタネージ』(中央公論美術出版 1984年) pp. 245-246. 森本孝「アントニオ・フォンタネージ『沼の落日』」(『ひるういんど』三重県立美術館ニュース) 59号 1998年 |