ひび割れた黒と白い十字
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コレクション |
- |
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ジャンル |
絵画(油彩画等) |
作者名 |
タピエス、アントニ TAPIES, Antoni |
制作年 |
1976年 |
材料 |
ミクストメディア・木 |
寸法 |
162×131 |
署名 |
- |
寄贈者 |
- |
来歴 |
Galeria Maeght, Barcelona |
初出展覧会 |
- |
作品名欧文 |
Cracked Black and White Cross |
関連資料 |
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解説 |
アントニ・タピエスはバルセロナ出身の画家。1950年にパリに留学した際、激しい身振りや様々な素材によって生み出される、不定形のイメージが特徴的なアンフォルメルに出会い、砂や布、段ボールなどを用いた抽象絵画を制作し始める。素材の物質性を強調したその作品は深遠な精神性をも備える。 本作では土や砂などが重厚な壁のごとく塗り固められている。この上に黒い塗料が広がり、所々がはじかれて、全体に模様のように斑点が浮かびあがる。画面上部には、十字の痕跡も刻まれている。支持体である木が見えるほど深くえぐってつけられたこの痕跡からは素材の物質性が直接伝わる。一方、十字は宗教的な象徴性を帯びた記号であり、画面には堅固な物質性と精神性が同居している。タピエスは自著の中で、「作品とは、瞑想の支えに過ぎない。」[註]と語っており、本作において鑑賞者は堅牢な物質を通して、事物の本質への瞑想に誘われるのである。 [註]アントニ・タピエス『実践としての芸術』(田澤耕訳)、水声社、1996年、68頁 (坂本龍太 『三重県立美術館 コレクション選』 2022年) [作家名(スペイン語)] Antoni TÀPIES |
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展覧会歴 |
個展(カサハラ画廊、大阪 1981) REAL-スペイン美術の現在(長崎県美術館 2005) 魔術/美術 幻視と技術の内なる異界(愛知県美術館 2012) 開館35周年記念Ⅰ ベスト・オブ・コレクション―美術館の名品(三重県立美術館 2017) 果てなきスペイン美術―拓かれる表現の地平(長崎県美術館、三重県立美術館 2024) |
文献 |
Anna Agusti, Tapies. The Complete Works, Vol.4: 1976-1981, Barcelona, 1996, p.98/no.3241 |