海への道


コレクション

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ジャンル

絵画(油彩画等)

作者名

北川民次
KITAGAWA Tamiji

制作年

1942(昭和17)年

材料

油彩・キャンバス

寸法

91.3×117.0

署名

左下: 民

寄贈者

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来歴

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初出展覧会

第29回二科展(東京都美術館1942)

作品名欧文

Way to the Sea
関連資料

解説

 静岡県の地主農家に生まれた北川民次は、早稲田大学予科を中退した後、20歳で渡米。ニューヨークで劇場の背景を制作する職人として生計を立て、アート・スチューデンツ・リーグで絵画の基礎を学んだ。米国滞在中は、アメリカの美術のみならず、ヨーロッパ美術の動向にも関心を向けた。さらには画学校の師や交流のあった国吉康雄、清水登之等の影響で、社会や民衆を描く姿勢を身につけたともいわれる。その後、27歳でメキシコに移り13年間滞在。児童美術教育に取り組みながら、絵画制作にも励んだ。
 1936(昭和11)年に帰国した北川は、メキシコ風俗を主題とした作品や帰国後滞在した窯業の町・瀬戸の情景などを制作、発表した。社会が抱える諸問題を積極的に取り上げた北川は、戦時体制への抵抗を示す絵画も制作したが、本作はそれらとは性格を異にする風景画。アメリカ時代に傾倒したセザンヌを意識したと思われる穏やかな色彩とリズミカルな筆致を効果的に用いて、三重県大王町波切の豊かな自然を描き出した第29回二科展の出品作である。
(道田美貴 『三重県立美術館 コレクション選』 2022年)

展覧会歴

第29回二科展(東京都美術館1942)
画業60年北川民次回顧展(日本橋・東急百貨店、名古屋日動画廊、梅田近代美術館1973) no.21
第22回名作展 描かれた海(岡山県総合文化センター1985年)
北川民次展(名古屋市美術館、静岡県立美術館1989) no.31
名画の見る日本の海展(横須賀市はまゆう会館1990) no.36
海=いのちの泉(萬鐵五郎記念館1992)
北川民次展(愛知県美術館、笠間日動美術館 1996) no.43
セザンヌ主義-父と呼ばれた画家への礼賛(横浜美術館、北海道立近代美術館 2008-09)no.107
美術でめぐる日本の海(横須賀美術館 2017)
コレクションによる特別展示 春をまちわびて 美術から考える自然との調和(=エコロジー)(三重県立美術館 2022)

文献

『北川民次画集』(日動画廊・飯田画廊1974年)no.18
『風景画全集 美しい日本8 奈良・近畿』(ぎょうせい1988年) no.54
石崎勝基「館蔵品から 北川民次《海への道》」『ひる・ういんど』(三重県立美術館ニュース)28号 1989年
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