小丹波村


コレクション

-

ジャンル

絵画(油彩画等)

作者名

浅井忠
ASAI Chu

制作年

1893(明治26)年

材料

油彩・キャンバス(パネル貼り)

寸法

27.0×39.0

署名

右下: C.Asai 明治二十六年十月廿□

寄贈者

-

来歴

-

初出展覧会

-

作品名欧文

The Village of Kotaba
関連資料

解説

 千葉の佐倉藩の江戸屋敷で生まれた浅井は、1876(明治9)年、国沢新九郎の洋画塾・彰技堂に入門、次いで工部美術学校に入学し、イタリア人教師のアントニオ・フォンタネージから、バルビゾン派の流れを汲む自然描写を学んだ。フォンタネージの帰国後も、師にならって関東を中心に写生旅行をしばしば試み、農村などを主題にした初期の代表作を生み出した。
 本作品は、現在の東京都西多摩郡奥多摩町に取材したものである。本作品が制作された1893(明治26)年10月は、浅井が結婚をした月でもある。前年11月、浅井は、写生旅行の折に小丹波村に一泊したことが知られており、結婚早々に再取材に赴いたとは考えにくく、前年の写生をもとに本作品を描いたとされる。人物がいる辺りを明るく照らす光の描写は、全く自然であり、写生から本制作までの月日を感じさせない。
(村上敬 『三重県立美術館 コレクション選』 2022年)

民家の屋根の勾配とそれに呼応する山の稜線は、浅井の緻密な計算のうえに配置されており、画面に躍動感と安定感をもたらしている。そして、柔らかく短い線を交差させながら明暗の調子をととのえ、あわせて立体感を表現するこの筆法は、工部美術学校時代の師であったフォンタネージの教えが忠実に守られている。
点景人物を加えることによって画面にアクセントをつける方法もフォンタネージ〔2〕からの教えであるが、浅井の描く風景画中の人物をみると、そこで生活している彼らに対する愛情がひしひしと伝わってくる。(田中善明)(三重県立美術館所蔵作品選集(2003)より)

展覧会歴

浅井忠名作展(ブリヂストン美術館 1969) no.42
日本洋画のあけぼの展―明治美術会と白馬会(岐阜県美術館 1984)
浅井忠展(名古屋市美術館 1988) no.19
浅井忠展(浜松市美術館、広島県立美術館 1990) no.25
百年前の表現(西宮市大谷記念美術館 1994) no.31
近代日本の洋画の流れ(佐久市立近代美術館 1994) 
若き日の日本美術―明治期の図画教科書と画家たち(茨城県近代美術館 1995) no.76
道―歌会始御題にちなみ―(式年遷宮記念神宮美術館 1998)
日本洋画のれきし 三重県立美術館コレクションによる(茨城県近代美術館 2000) no.7
美術を楽しむ散歩道―三重県立美術館名品展Ⅰ 日本洋画の楽しみ(川越市美術館 2003)
近代日本絵画に見る「自然と人生」―風景の発見、そしてその中へ(神奈川県立近代美術館 2004)
明治の洋画―解読から鑑賞へ―(茨城県近代美術館 2008)
開館10周年記念 日本近代洋画に見る“自然と人間”(群馬県立館林美術館 2011)
開館35周年記念Ⅰ ベスト・オブ・コレクション―美術館の名品(三重県立美術館 2017)

文献

隈元謙次郎『浅井忠』(日本経済新聞社1970年) no.58
嘉門安雄、河北倫明監修『浅井忠画集』(京都新聞社1986年) p.59
『大人の名画ガイドブック』(メイツ出版株式会社、2011)
English
ページのトップへ戻る