巨椋の池
|
コレクション |
- |
---|---|
ジャンル |
絵画(日本画等) |
作者名 |
宇田荻邨 UDA Tekison |
制作年 |
1924(大正13)年 |
材料 |
絹本着色 |
寸法 |
194×165 |
署名 |
右下:大正拾参年夏 / 宇田荻邨 「荻」 「邨」(白朱連印) |
寄贈者 |
公益財団法人岡田文化財団寄贈 |
来歴 |
- |
初出展覧会 |
第5回帝展 |
作品名欧文 |
Ogura Pond |
関連資料 |
|
解説 |
かつて京都伏見と宇治の間には、巨大な巨椋(おぐら)池があった。度重なる水害のため昭和初期に干拓工事が行われその姿をなくしてしまったが、古来この池は水上交通の要であり地域の生活と密接に結びついていた。景勝地としても有名で、万葉の時代より歌に詠まれ、貴族や時の権力者に愛された。夏には蓮(はす)の花が咲き、早朝の蓮見船を利用した哲学者・和辻哲朗が随筆「巨椋池の蓮」で、その幻想的な開花の瞬間を見事に描写している。あたり一面蓮に覆われた幻想的な世界。それを荻邨(てきそん)は、絵画で実現させた。銀泥と墨を駆使した水面に鮮やかな蓮が映え、白鷺(しらさぎ)の動きと散りゆく花びらが、日の出間近のゆっくりとした時の流れを演出する。遠くの景色を大胆に省略し、描きたい対象だけを近くに据え、装飾的にあしらった手法は、大正のおわりから昭和初期にかけての荻邨の作品に多く見られる。これは、琳派をはじめとする古典絵画を研究していたその成果ともいえるが、一方で輪郭線を抑えた西洋絵画的空間把握がなされているところにも注目したい。 (県立美術館学芸員・田中善明) |
---|---|
展覧会歴 |
第5回帝展 没後3年記念-宇田荻邨展(三重県立美術館 1983)no.7 京都の日本画1910-1930 (京都国立近代美術館 1986)no.124 宇田荻邨展(東京ステーションギャラリー 1997)no.7 岡田文化財団コレクション―珠玉の近代絵画展(そごう美術館・横浜 2004) 30年ぶん。コレクションの全貌展(三重県立美術館 2013) 岡田文化財団寄贈作品展(パラミタミュージアム 2019) コレクションによる特別展示 #StayMuseum ステイミュージアム(三重県立美術館 2020) 開館40周年記念 宇田荻邨展(三重県立美術館 2022) 近現代日本画 三重県立美術館名品展(笠岡市立竹喬美術館 2023) |
文献 |
- |