資料詳細

春雨図  採蓮図

項目 内容
コレクション 寺岡富士氏寄贈
ジャンル 絵画(日本画等)
作者名 小室翠雲KOMURO Suiun
制作年 1920(大正9)年
材料 絹本着色
寸法 各139×27.2
署名
寄贈者 寺岡富士氏寄贈
来歴
初出展覧会
作品名欧文 Spring Rain/ Gathering Lotuses
サイト
解説 「菊は花の隠逸なるもの、牡丹は花の富貴なるもの、蓮は花の君子なるもの」であるとして、蓮をひときわ持ち上げたのは中国宋代の周茂叔の「恋愛説」であった。狩野正信に「周茂叔愛蓮図」がある。
 蓮の登場する歴史は古く既に「詩経」の中に「荷」の名で現れている。漢の時代になると、楽府題に「採蓮曲」があり、蓮が憐に通音し、憐はすなわち恋だということでこの曲は常に男女相思の情を、けれどあからさまな情熱によってではなく、君子のつつましさで物語る。
 この翠雲の「採蓮図」もその文脈によらないと意図がはっきり見えてこない。水中に姿を見せた舟の中に女性一人。とはいえ彼女の心中は画面左上に書かれた讃を読めば明らかだ。
 「菱葉波にまつはり、荷は風にそよぐ。荷花深きところ小船通づ。郎に逢ひ語らんと欲し頭をたれて笑う。碧玉掻頭水中に落つ」。
 恋人に会ううれしさのあまり、頭のかんざしを水の中に落としてしまって、どうしたらいいのかという、この七言絶句の作者は小室ではない。自讃でなく、白楽天のつくった「採蓮曲」である。翠雲は男のほうを描かないことによって、いっそうの余情をそこに込めたのだろうか。 (東俊郎 中日新聞 1990年5月25日掲載)
展覧会歴 小室翠雲(1874ー1945)展(群馬県館林美術館 2010)3-27
文献