資料詳細

母子のいる風景

項目 内容
コレクション
ジャンル 絵画(油彩画等)
作者名 麻生三郎ASO Saburo
制作年 1954(昭和29)年
材料 油彩・キャンバス
寸法 97.0×146.0
署名 右下: ASO 1954
寄贈者
来歴
初出展覧会 自由美術家協会第18回展(1954)
作品名欧文 Scene with Mother and Child
サイト
解説  画面を覆う暗い赤色と錯綜した黒い斑や線からなる絵は、一見、抽象絵画のようであり、重苦しさ、息苦しさの感じが見る者に迫る。しかし、絵の題名を踏まえ、時間をかけて眺めれば、画面左手に母、中央に子が、ともに直立した姿で見えてくる。であれば、背後の黒いかたちは街の風景である。
 戦前の麻生三郎は、太平洋美術学校で学び、前衛系の団体で活動した。1938(昭和13)年に渡欧し、古今の絵画を貪欲に吸収、以後、自身のリアリズムを追求する。戦中は松本竣介らと新人画会を結成、戦後は自由美術家協会展などに出品した。
 1950年代後半、代表作とされる《赤い空》シリーズをはじめ、都会風景のなかに人を表した一連の作品を描くが、第18回自由美術展出品の本作はその最初期の原初的な作例として重要である。人間像を描き続けたと言われる麻生だが、この時期の人物像は周囲の空間のなかで凝縮され、容姿や個性がぬぐわれ、いわば存在それ自体が屹立するかのようである。
(速水豊 『三重県立美術館 コレクション選』 2022年)
展覧会歴 自由美術家協会第18回展(1954)
第6回選抜秀作美術展(1955)
森芳雄・麻生三郎展(神奈川県立近代美術館 1962)
麻生三郎展(東京都美術館 1979)
人とヒト展―人々の生活と生命をみつめて―(刈谷市美術館 1998)
日本洋画のれきし 三重県立美術館コレクションによる(茨城県近代美術館 2000) no.103
麻生三郎展(東京国立近代美術館、京都国立近代美術館、愛知県美術館 2010-2011)
開館35周年記念Ⅰ ベスト・オブ・コレクション―美術館の名品(三重県立美術館 2017)
文献 針生一郎「絵画は世の中ウォッチャー」『日経アート』1996.1