資料詳細

六月の風景

項目 内容
コレクション
ジャンル 絵画(油彩画等)
作者名 小出楢重KOIDE Narashige
制作年 1929(昭和4)年
材料 油彩・キャンバス
寸法 53.0×65.1
署名 右下: N Koi(¨)de(´).
寄贈者
来歴
初出展覧会
作品名欧文 Scene in June
サイト
解説 緑豊かな山間に出かけると、気持ちが安らぐことはあっても、うっとうしく感じることはめったにない。しかし、その現状を油絵で描くとなると話は別だ。暖かい色でも冷たい色でもない緑色。この色が画面の多くを占めると、描く途中で投げ出したくなるほど気分が沈む。この小出が描いた「六月の風景」は、まさに緑色と真っ向から勝負した作品である。ヨーロッパの淡くてやわらかい木々ではなく、小出が人生の残り五年を過ごした芦屋の松林。この作品が描かれたころの小出の随筆を見ると「芦屋にはオリーブの代わりに黒く堅い松の林の連続がある。松も悪いとも云(い)えないが、オリーブのみどりに比べると単調で黒すぎる、葉が堅い。従って画面が黒く堅くなる」とあるが、この作品ではここで述べられた単調さや堅さは感じられない。むしろ黒すぎる松を縦横無尽に配置させ、その複雑さを楽しんで描いているようだ。
(県立美術館学芸員・田中善明)
展覧会歴 小出楢重遺作展(松坂屋・上野 1941)
小出楢重・古賀春江展(神奈川県立近代美術館 1953) no.32《風景》
文献 小出楢重画集刊行委員会『小出楢重画集』(H 179)2002 東方出版
小林未央子「なめらかな表面のために-小出楢重再考-」『美術研究』395号(2008.8)pp.85-97及び原色図版1-2