資料詳細

戦争の惨禍(79)《真理は死んだ》

項目 内容
コレクション
ジャンル 版画
作者名 ゴヤ・イ・ルシエンテス、フランシスコ・ホセ・デGOYA y Lucientes, Francisco José de
制作年 1810-20年
材料 エッチング、バーニッシャー・紙
寸法 14.0×19.8
署名 各画面下に作品名
寄贈者
来歴
初出展覧会
作品名欧文 Los Desastres de la Guerra(79)
サイト
解説 スペインを代表する画家の一人ゴヤ(一七四六~一八二八)年は、人間の醜さ、残酷さ、この世の矛盾を自覚的に表現し、人間や世界の本質に迫ろうとした。彼は、カルロス四世の宮廷画家として世俗的な名声を得ていたが、内乱や飢饉(ききん)が相次いだ混乱期の中で、また聴覚を失うという病に襲われることで、社会や人間の矛盾に目を向けることになる。「戦争の惨禍」は、八十図からなる版画集。そこには、内乱に伴う凄惨(せいさん)な場面、飢饉の惨状、王政への批判などが、克明に描き出されている。図版の第七十九図「真理は死んだ」では、画面中央に真理の象徴である臨終の若い女性が横たわり、その周囲で真理の死を修道士たちが嘆き悲しんでいる。この図に続く第八十図を「彼女はよみがえるだろうか?」と題して、ゴヤは真理と自由の復活に期待を表明し、この版画集を終えた。失望と希望とが交錯するゴヤの複雑な心の襞(ひだ)が伝わってくる作品といえるだろう。
(県立美術館学芸員・毛利伊知郎)

[作家名(スペイン語)]
Francisco José de GOYA y Lucientes
展覧会歴 果てなきスペイン美術―拓かれる表現の地平(長崎県美術館、三重県立美術館 2024)
文献