資料詳細

『古代史』より「ヘレネの略奪」

項目 内容
コレクション
ジャンル 版画
作者名 ドーミエ、オノレDAUMIER, Honoré
制作年 1842
材料 リトグラフ・紙
寸法 33.2×24.6
署名
寄贈者
来歴
初出展覧会
作品名欧文 L'enlévement d'Hélène (From "Histoire ancienne")
サイト
解説 むかし、むかし。
 神と見まがうばかりのトロイアの王子パリス、絶世の美女と聞こえも高いスパルタの王妃へレネーに恋をした。パリスは、王のいない間にへレネーをかどわかし、トロイアに連れ帰る。これがトロイア戦争の火種となった。
 美男美女の禁じられた愛とその後に続く数々の悲劇、オリュンポスの神々をも巻き込んだこの壮大な物語は、ホメロスの「イーリアス」、ヴェルギリウスの「アエネイアス」が更生に伝えている。
 ところで、古典古代に美の規範を見ていた19世紀当時、神や英雄のお話は、崇高美を描く題材として画家が好んだ主題の一つだった。それなのに、ドーミエはそれらを一転、喜劇仕立てで大衆紙に掲載し、読者と一緒に笑い飛ばしたのである。
 ヘレネーの誘惑に成功し、パリスは一仕事終えたかのよう。ヘレネーはあとを心得たとばかりにたくましい腕でパリスをかつぎ、ヴェールをひるがえして船まで一目散である。
 生き生きとした人物、大気をも感じさせる背景などドーミエの柔らかな線の技に、歴史画は技法的にもたじたじである。 (桑名麻理 中日新聞 1999年1月21日掲載)

[作家名(フランス語)]
Honoré DAUMIER
展覧会歴
文献