資料詳細

『古代史』より「征服者メネラオス」

項目 内容
コレクション
ジャンル 版画
作者名 ドーミエ、オノレDAUMIER, Honoré
制作年 1841
材料 リトグラフ・紙
寸法 33.2×24.6
署名
寄贈者
来歴
初出展覧会
作品名欧文 Ménélas vainqueur (From "Histoire ancienne")
サイト
解説 美ぼう自慢の三人の女神、知を知るアテナ、繁栄をもたらすヘラ、美の化身アフロディテに序列を下したのは、トロイアの王子パリスであった。世界一の美女ヘレナを報酬に、あっさり審判は買収され、アフロディテに黄金のリンゴを授けてしまう。やっかいなことに、ヘレナはよりによって宿敵スパルタの王妃であった。恋女房を略奪されて黙っていられるはずがない。敗れた女神たちのメンツも絡み、歴史に名高いトロア戦争がぼっ発する。トロイアを灰じんに帰し、ようやく戦乱は終息を迎え、神々の気まぐれにもてあそばれた悲劇の恋人たちは再会を果たす。感極まる場面を画面の下に控えるテキストに語っていただこう。「麗しきトロイアの戦火に煙る城壁のうちより/神々の息子メネラオス、実り豊かな獲物/金髪のヘレネを」(「イーリアス」よりバレスト訳)」勇敢な征服者は、たるみきった腹を突き出す中年に。亡国の美女は救出の礼を鼻であざける小太りの女に。全くここは悪意というあきらめしかない。背景に倒れるしかばねを見よ。名誉を盾にしたむなしき戦いのしかばねは、炎に焼き尽くされるあの有名な木馬まで続く。
(県立美術館学芸員・生田ゆき)

[作家名(フランス語)]
Honoré DAUMIER
展覧会歴
文献