資料詳細

病める少女(マイヤー・グレーフェ・ポートフォリオより)

項目 内容
コレクション
ジャンル 版画
作者名 ムンク、エドヴァルドMUNCH, Edvard
制作年 1894年
材料 エッチング、 ドライポイント・紙
寸法 35.7×27.0
署名
寄贈者
来歴
初出展覧会
作品名欧文 The Sich Girl (from "Meier-Gra(・・)fe Portfolio")
サイト
解説 歴史家フィリップ・アリエスに「死を前にした人間のイメージ」という著書がある。アリエスによると、十九世紀は死についての考え方が変化した時代だという。
 そこにはもはや、自らのために恐れる死もなく、油断に乗じて人を襲う死もない。ただ皆からかけがえのない人を奪い去る死、他者の死のみが存在するのだと。それゆえ、この時代には非常に多くの死のイメージが愛した人の思い出として定着されることになる。
 このムンクの版画もそうした一点。彼が五歳の時に死んだ母と、十四歳の時に死んだ姉の思い出が重なっている。病める少女が床に起き、わずかな回復への希望を見詰めるかのように、窓に視線を向ける。
 しかし、母親はすでにすべてを知らされているのだ。彼女は苦悩を隠すことなく、絶望にうなだれている。もともと油彩で描かれたこの作品は、ムンク初期の代表作である。 (荒屋鋪透 中日新聞 1990年8月10日掲載)
展覧会歴 美術を楽しむ散歩道―三重県立美術館名品展Ⅱ ヨーロッパ版画の散歩道(川越市美術館 2003)
ムンク×斎藤清展(やないづ町立斎藤清美術館 2017)
開館35周年記念Ⅰ ベスト・オブ・コレクション―美術館の名品(三重県立美術館 2017)
文献