資料詳細

版画集 『小さな世界』 全12点

項目 内容
コレクション
ジャンル 版画
作者名 カンディンスキー、ワシリーKANDINSKY, Wassily
制作年 1922年
材料 木版、リトグラフ、ドライポイント・紙
寸法 35.5×28.0他
署名
寄贈者
来歴
初出展覧会
作品名欧文 Collected Prints "Kleine Welten" (Set of Twelve Prints)
サイト
解説 木版と石版と銅版各四点ずつ全十二点からなる版画集「小さな世界」のうちの一点。
木版で黄色、緑、青を使っているが、なんといっても地色の黒が印象的ではないだろうか。
 具象的な物の形を吸い込んでしまう、カンディンスキー的な内部宇宙の暗黒。
しかしその上に、ひとめではなんだかわからない種々の形がひしめいて、にぎやかなリズムを奏でている。
もっとも、そこは小さいながらも宇宙なのだから、音は聞こえないけれど。 
ロシア革命政府の文化政策に失望して、再びドイツに戻ったカンディンスキーは、一九二二年ワイマールに創設されたバウハウスに招かれた。
この作品は、この新しい環境でのいわば仕事始めである。
それまで繰り返してきた抽象画の実験のすべてを、いったん蓄えて、未来の可能性を探る。
試みはささやかだけれど、意図は大きい。
 抽象画というのは決して国籍不明の作品ではないということも、カンディンスキーは教えてくれる。
彼の描く色はまぎれもなく、あのロシアの色だし、不思議な曲線を作る形もそうだろう。
忘れ難い個人的な記憶から生まれた形もある。
例えば、馬に乗った二人の男が、この黒い宇宙を疾走していくのが見える。
(東俊郎 中日新聞 1990年9月21日掲載)
展覧会歴 抽象美術へのいざない展(国立国際美術館 1995)
プリント・ワンダーランド 親と子でみる版と版画(平塚市美術館 1995)
美術にアクセス!―多感覚鑑賞のすすめ(三重県立美術館 2021)
文献