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湯の山温泉(三重郡菰野村)※


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 湯の山温泉に関しては、起源など古代にさかのぼる伝説もあるが、史料上では貞享4年(1687)に8戸の湯屋が開かれたという。明治期では、まず明治10年(1877)の西南の役後に名古屋鎮台が傷病兵臨時療養所を湯の山に設置し、各地からの傷病兵らによって「療養の成績良好」と「山紫水明の風光」が宣伝され、来遊者が増加した。ちなみに、『明治14年三重県統計表』(「鹿の湯」と表記)によると年間入湯者は16,279人であり、その後道路改修も行われ、夏には「浴客を収容し難き隆昌を見る」ようになったらしい。しかし、夏以外の客が少なく、旅館が多すぎることもあって一時衰退の時期も見られたため、40年頃に再び興隆策が図られ、京阪・中京地方に誘致活動も行い、「漸く復興の燭光を認むるに至」った(『菰野町史』)。また、『三重県案内』には「四日市より菰野市街まで人車馬車の便あり・・・菰野に達すれば、これより湯の山まで舁與の便あり」と記され、当時は駕籠もかなり使用されていたようであるが、43年11月には四日市鉄道株式会社が四日市市・湯の山間の軽便鉄道敷設の免許を受け、大正2年(1913)6月開通し(『三重県史』資料編 近代3)、以後は人力車・馬車や駕籠に代わって鉄道が客を運び、湯の山温泉を訪れる人も増加することになった。

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