ずうっと昔から、家城(いえき)にこんな民謡が伝えられとるのを知っとるか。
親が若(わこ)うて 子が年寄りじゃ
何のいんがで できたやら
子どもは母親のお腹(なか)に宿るものやろ。そやから親の方が年をとっとるのがあたりまえや。この歌はな、親の生まれる前に子どもが生まれたと言う、まことに不思議な話なんや。
子が親より年寄りで親が子より若いと言うこの話は、南家城の西光寺(さいこうじ)にある仏様のことや。
今から千二、三百年も前っちゅうから、えらい昔やな。
この家城の里に一人の旅の坊(ぼう)さんがふらりとやって来はった。それで村の家をたずねてな、一夜の宿を求めたんやて。
「こんな所でよろしかったら、どうぞどうぞ」
家城の人は、親切に坊さんの世話をしたんや。
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