ふたつの裸体
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コレクション |
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ジャンル |
版画 |
作者名 |
ピカソ、パブロ PICASSO, Pablo |
制作年 |
1909年 |
材料 |
ドライポイント・紙 |
寸法 |
13.0×11.0 |
署名 |
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寄贈者 |
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来歴 |
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初出展覧会 |
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作品名欧文 |
Two Nude Figures |
関連資料 |
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解説 |
1909年からピカソは人物像に創造の可能性を見出した。集中的な取り組みがもたらした作品群は画家の残した格闘の記録でもある。20世紀最大の芸術家を突き動かしたものについては、1907年のセザンヌ回顧展での水浴図との対面が契機となったのか、あるいはアフリカ彫刻などの異文化からの刺激が加速をつけたのか、我々としては想像するより手立てが無い。試行錯誤のその成果は、例えば本作に顕著に現れているように、人体の幾何学的形象への還元へと到達する。頭や腕や足などの各部はそれぞれ固有の法則に基づいて陰影を施され、時に輪郭線を越えて貫入し、前後関係を混乱させる。しかしながら、驚くべきことに対象の実在感は減ずることなく、強弱を巧みに操られた描線から立ち上がってくるのである。 1907年の《アヴィニョンの娘たち》(ニューヨーク、近代美術館)がもたらした衝撃に始まるキュビスムとは、単に絵画の一様式の変遷に貼られたレッテルに留まらず、より根源的に、絵画を絵画として自律せしめるイメージの探求でもあったと言えよう。それは翻って、作品の鑑賞者としての我々にも突きつけられる問いかけでもあった。もちろんこれに明確な答えは無い。その長き画業において、ピカソはこの謎を追いかけ続けることとなる。(生田ゆき)(三重県立美術館所蔵作品選集(2003)より) [作品名(フランス語)] Deux figures nues |
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展覧会歴 |
果てなきスペイン美術―拓かれる表現の地平(長崎県美術館、三重県立美術館 2024) |
文献 |
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