指定区分 | 県 |
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指定種別 | 有形文化財(典籍) |
指定・登録日 | 2008(H20)年3月19日 |
市町 | 伊賀市 |
所在地 | 伊賀市上野丸之内 |
所有者 | 伊賀市 |
員数 | 9冊 |
構造 | - |
年代 | 江戸時代後期 |
関係サイト | - |
関連資料 | - |
「永保記事略並びに同拾遺」は、寛永17年(1640)~寛保2年(1743)までの100年余りにわたり、伊賀を中心とする津藩の法政や人事から習俗・災害・天変地異に至るまでの、様々な事跡を整理した編年体(へんねんたい)の記録集である。 これらは、本編8冊と「拾遺(しゅうい)」1冊の9冊からなるが、本来は名張市所蔵の「附録」1冊と合せて全10冊の完本となる。本編の8冊は、表紙に本文と同じ紙を使って仮綴(かりとじ)した簡素な作り(共表紙(ともびょうし)・袋仮綴(ふくろかりとじ))で、朱書(しゅしょ)が見られるものの、浄書(じょうしょ)の過程を経た再稿本(さいこうぼん)である。また「拾遺」は、多くの書入(かきいれ)や貼紙(はりがみ)・抹消等による修正があり、紙も使用済みの裏紙を用いていることから、初稿本(しょこうぼん)と位置づけられる。筆跡は、「本編」と「拾遺」の本文及び朱書・貼紙等において全て同一である。 内容は、伊賀城代家老職を世襲していた藤堂采女家(うねめけ)による伊賀支配の記録といった、私的な一面を持つ。記事は、寛永17年10月の藤堂采女家初代元則(もとのり)の伊賀城代家老就任の記事に始まり、寛保2年6月の同家四代元杜(もともり)の家老職就任に終わる。書名の「永保」は、この寛永の「永」と永保の「保」を採ったものである。 編者は不明であるが、記述の根拠となっている資料が采女家の行事帳などの私的な記録類であることから、同家中枢ないしはその周辺にあった人物と考えられる。 これらの「本編」と「拾遺」は、「附録」の1冊(名張市所蔵)を欠くのみで、9冊共に保存状態も良い。また、本書の転写本などは存在しないことから、本書は、津藩の藩政史研究に不可欠な史料として、極めて重要である。 |