資料詳細
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 文化財名 | 東条1号墳出土品 |
| 附名 | ひがしじょういちごうふんしゅつどひん |
| 指定区分 | 県 |
| 指定種別(詳細種別) | 有形文化財/考古資料 |
| 指定・登録日 | 2017/02/02 |
| 市町 | 伊賀市 |
| 所在地 | 三重県多気郡明和町竹川503 三重県埋蔵文化財センター |
| 所有者 | 三重県 |
| 員数 | 551点 |
| 構造 | 一、四獣鏡 一面 一、銅釧 一点 一、鉄製武器類 一四点 一、石製玉類 一八点 一、ガラス製玉類 四九一点 一、土器類 二六点 |
| 年代 | 古墳時代(後期) |
| サイト | |
| 概要 | 当資料は、平成24年度に三重県埋蔵文化財センターが実施した東条1号墳(伊賀市東条)の発掘調査によって出土したものである。東条1号墳は直径約10mの円墳で、計3基の埋葬施設が確認されている。本件は埋葬施設1・2から出土した副葬品である(埋葬施設3は未調査)。埋葬施設1・2は未盗掘だったため、副葬品配置や装身具の着装状況が良好にうかがえた。須恵器や金属製品の型式から、埋葬時期は6世紀前半(古墳時代後期)と考えられる。 副葬品には、金属製品・石製品・ガラス製品・土器がある。埋葬施設1からは、金属製品(大刀・鉄鏃)、土器(土師器・須恵器)が出土したが、鏡や装飾品は含まれない。埋葬施設2からは、金属製品(銅鏡(どうきょう)・銅釧(どうくしろ)・刀子(とうす))、石製品(玉類)、ガラス製品(玉類)、土器(須恵器)が出土したが、武器は含まれない。この違いから、性別ないし職掌の異なる被葬者を並べて埋葬したものと推測される。 1.埋葬施設1出土品 ・大刀(1点) 大刀は被葬者の左側に配された長さ112.7cmの長刀で、柄頭(つかがしら)を失っているが、刀身付近から出土した大刀装具から、C字形の捩り環頭(ねじりかんとう)を有する環頭大刀であったと考えられる。また、鞘(さや)外面と柄部に巻かれた紐巻が一部残り、有機質の拵(こしら)えに関する情報が豊富である。捩り環頭大刀は、大阪府峯(みね)が塚(づか)古墳例に代表される飾り大刀で、5世紀末から6世紀の政治的動向を知る上で注目される遺物である。東条1号墳の被葬者と、畿内の上位首長層ないし武器工房との関わりを示唆する。県内で他に4例が知られているが、伊賀地域では初例となる。本例は刀身の残りもよく、有機質の刀装の復元が可能な点で、県内出土の捩り環頭大刀の中でも非常に貴重な資料といえる。 ・鉄鏃(11点) すべて長頸鏃である。2種類の織物が付着していたことから、矢柄に装着され、織物に包まれていたことが知られる。 ・土器類(14点) 須恵器坏・壺などがある。このうち、棺外に配された須恵器坏は、畿内で流行した「六文銭祭式(ろくもんせんさいしき)」(土器を六文銭状に並べる方式)が採用されており、畿内との葬送儀礼の共通性が指摘できる。また、土器の口縁部や底部は意図的に打ち欠かれたものがあり、葬送儀礼の様子を知ることができる。 2.埋葬施設2出土品 ・銅鏡(1面) 被葬者の首から胸にかけての位置に置かれた直径11.8cmの青銅鏡である。鏡背の中心に半球形の紐(ちゅう)があり、その周囲に円圏がめぐる。内区主文部に4体の獣像が描かれる四獣形鏡(しじゅうけいきょう)で乳(にゅう)を持たない。外区には鋸歯文帯・複線波文帯・外向きの鋸歯文帯が配置される。5世紀後葉から6世紀前葉に国内で製作されたとみられる。 ・銅釧(1点) 外径7.4cm、青銅製で、玉類とともに左手に装着されていたと考えられる。 ・刀子(1点) 残存長は5.2cmで、先端を欠失している。刀身部は平造りで、関は両関(りょうまち)である。柄部は木質で覆った後に鹿角装としている。 ・石製玉類(18点)・ガラス製玉類(491点) 勾玉・管玉・丸玉・小玉が509点ある。県内のガラス玉出土点数としては、石山古墳西郭(伊賀市)、おじょか古墳(志摩市)、井田川茶臼山古墳2号石棺(亀山市)に次ぎ第4位である。東条1号墳のガラス玉類の多さは、その墳丘規模からすれば極めて異例といえる。 玉類は出土位置から、首飾り・腕飾り・足飾りに用いられていたと推察でき、用途によって玉の種類や材質を使い分けている様子がうかがえる。 ・土器(12点) 全て須恵器で、坏・𤭯・提瓶・横瓶・壺がある。出土位置は棺内・棺外・墓壙上の3か所に分かれ、葬送儀礼の各段階で置かれたことが知られる。 東条1号墳の立地する旧伊賀国阿閉郡は、三重県最大の前方後円墳である御墓山古墳(国史跡)や、前方後円墳・小規模古墳が密集する外山・鷺棚古墳群が所在し、古代の伊賀国庁跡(国史跡)が存在するなど、伊賀盆地のなかでも中心的な地域といえる。このなかで東条1号墳は、直径10m程度の小規模古墳であるにもかかわらず、極めて豊富な副葬品を有している。また、畿内の葬送儀礼との共通性も認められ、畿内に接した当地の重要性や特徴をよく表している。 加えて、東条1号墳は未盗掘古墳であり、発掘調査により出土状況が明確にされ、当時の埋葬手法や被葬者の性格を詳しく知ることができる点で資料的価値が高い。 |