せん仏
資料番号 |
JR0001610 |
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資料分野/分類 |
人文系/考歴美/考古資料 |
資料名 |
せん仏/せんぶつ |
遺跡名 |
鳥居古墳 |
遺構層位 |
石室内 |
時代 |
奈良 |
指定等 |
県指定有形文化財 |
出土地 |
津市鳥居町 |
資料解説 |
鳥居古墳出土。 鳥居古墳は津市鳥居町にあり、かつては愛宕山古墳と呼ばれていた。明治期には既に知られていたようで、1893(明治26)年に鉄道敷設で墳丘の一部が破壊された。その後、地元の郷土史研究者による小規模な発掘もあったが、あまり注目されることもなく次第に荒廃していった。 だが、1963(昭和38)年、当時の三重県立博物館が中心になって発掘調査を行い、土師器(はじき)や須恵器などと共に押出仏とせん仏を発見、広く知られるようになった。 せん仏は、凹型の原型に粘土を押し当てて像を浮き彫りにしたもので、乾燥後に素焼する。一つの型から像をたくさん作ることができ、表面を金色に仕上げることが多い。 長く土中にあったため腐朽しており、周辺の土と共に取り出されて保管されていたが、73年に保存処理が施された。2002年には押出仏とその破片などとせん仏1点が県有形文化財(考古資料)に指定された。鳥居古墳の石棺と石室の一部は、三重県総合博物館のミュージアムフィールドに移されている。 せん仏は、吉祥天の姿をあらわしているが、上下に割れ、右下半分が無い。左右に広がる天衣や裳裾(もすそ)の様子が唐招提寺の押出吉祥天立像に酷似しており、この点も関連が考えられる。 これらのせん仏・押出仏は、当初から古墳に納められたものではなく、後世に損傷した状態で入れられたものではないかと考えられており、制作年代は7世紀末~8世紀と推定される。伝来や当初の安置状況などよく分からない点もあるが、この地域における仏教文化の広がりを示すものとして、考古学や美術史の上でたいへん貴重な資料だ。 |
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