平成19年度第3回文化振興拠点部会結果概要
日時 平成19年10月17日(月曜)13時半から16時半
会場 三重県総合文化センター 三重県文化会館 中会議室
1 要旨
平成19年10月17日午後、三重県総合文化センター 三重県文化会館 中会議室において、第3回文化振興拠点部会を開催し、文化振興拠点の役割や連携等について、審議を行いました。
2 審議内容
「三重の文化振興方針(仮称)」(骨子案)の内容を深めるために、文化振興の基本方向、県民や地域にとっての文化振興拠点の役割及び「文化と知的探求の拠点」づくりの考え方と展開方向についての意見交換を行いました。
審議のようす
3 委員から出された主な質問・意見・感想
(1)骨子案全体及び「第2章 三重の文化」について
- 「資料1-2」に関して、来年度、生涯学習分野が教育委員会から生活部(生活・文化部)に所管が移るとのことだが、社会教育については、どう調整していくのか。社会教育と言われる部分と生涯学習と言われる部分について整理する必要がある。教育と生活部の連携の点から、公民館活動など末端での充分な連携をお願いしたい。
- 生涯学習分野のいくつかの拠点を生活部と教育委員会が共管でリーダーシップを生活部がとっていくのはいいが、学校教育との連携が薄くならないよう、学校教育との関わりに気をつけるべきである。
- 三重の文化に関わる拠点について書いていくとき、敢えて学校教育との関わりについても触れる必要があるのではないか。
- 「文化とは」の定義で、今までの審議では、産業とか、景観とか、環境保全とか、生活に密着した全てのものが文化だと言っていたと思うが、あまりそれが表現に出てきていない。
- 「資料1」骨子案の6ページの6行目「とりわけ・・・」で始まっている部分だが、いきなり文化振興拠点が出てきて唐突に感じる。「資料のデータベース」も何を指すのかがよく分からない。図書館、博物館、美術館などの各施設がそれぞれデータベースを持っている現状があって、それをどう連携させるかの仕組みが見えてくるような表現になると良いのではないか。
- 文化力について何らかの図式化ができるのではないか。「文化力とは何か」を、文章だけではなく、文化力をベースにして芸術的な視点や産業的な視点など、それぞれが関連して発展していく、といったことが分かるようなものを作ればどうか。
- 文化には、いつもその時代では反社会的であったり、なかなか人に認められないといったものもある。「資料1」5ページの「求められる4つのこと」に関して、白丸の4つは必要なことだが当たり前のことで面白くない。当然のことはやっていくが、それにプラスしての何かが必要である。
- 第2章の「三重の文化の特徴」のところで、三重県は各地域でそれぞれ特徴が違うのに、三重県として一本化して書こうとするところに無理があるように思う。無理やりひとつにしようとしてワンパターン的に書こうとするので、特色がないとか踏み込みが足らないと言われてしまう。地域別で分割して書いたほうが分かりやすいのではないか。
- 子どもに対する記述がほとんど見られない。「誰もが文化に触れ」「多様な文化」などの表現に含まれていくのではないかと推察するが、子どもとの関わりについてもう少し入れたらどうかと思う。県民の方が読んだ時に、学校教育とは関係ないと思われてしまうといけない。子どもたちにとって生活の中で文化が身近に体験できるような博物館や美術館などの施設であってほしい。
- 地域で子どもがやっている伝統芸能だとか、音楽などで全国レベルで活躍している学校であるとか、こういった具体的な事例を取り上げれば分かりやすくなるのではないか。専門的な文章を書くより、県民の目線に立って書くべきである。
- 「資料1」4ページの「三重の文化をめぐる現状」では、マイナスな面ばかり書かれている。そういう中でも一生懸命地域の文化などを守ろうと頑張っている人がいる。また、他に「一人ひとり」といった表現や考えが目立つが、グループなりまとまりをもってやっていることが多い。そういうものに光を当てていけば、現実の姿なり、特色というものが出てくる。
- 今後、博物館の議論をしていくときに、博物館が文化の地域格差の解消に意味があることも書き込んで欲しい。周辺の人ばかりでなく遠くの人たちに対してどういう対策・考え方があるのか、必ず書かなくてはいけない。それ無しで(例えば)津周辺に作ってしまったら、県の博物館ではなく、県庁所在地の博物館になってしまう。。
(2)文化振興の基本方向について
- 「資料2」2ページで、前回から追加された部分の「文化的資料」という表現はどうか。例えば図書館で扱う資料には産業の関係やいわゆる「文化」だけでないいろんなものがある。「文化力」と同じような意味で使っているのなら良いが、誤解を招くのではないか。
- 文化には楽しみだけでなく、苦しみや悩みもある。「資料2」3ページの「県民一人ひとりが・・・楽しみながら」など、「楽しみ」ばかり書かれているので、そういう面についても記述した方が良い。例えば芸能をやっている子どもたちは、その過程は決して楽しいものでないが、最後には心の豊かさなどすばらしいものを手に入れられる。「楽しみ」だけだと浅くなる。
- 10人いれば10人感じ方が違う。ある程度は「楽しみ」も入れるべきではないか。
- 文化の継承、発展などに)苦労している人たちに光をあてるようなことは、行政が苦手としてきたことである。そういうものを包含できる施策が必要。そういうところを文章は簡潔にして分かりやすく、きちんと書き込むべきである。。
- 文化は幅が広く、人によって感じ方も違うため、入り込んでいくと書ききれない。わざわざ苦しみもあるとまで書くのはどうか。文化協会の団体などで、見る人、出演する人は楽しんでいるが、それをプロデュースする人、プロモートする人は皆苦しんでいる。見返りがなかったり利益の回収ができないものが多い。お金を集めたり、企画したりすることは大変だが、それが社会的なことであったり仲間との交流にもなるので、苦労してもやっている。
- 「基本目標」が読んでいても分かりにくい。「文化力」も分かりにくい。もっと簡潔に短くまとめられたら、県民の方にとっても分かりやすくなる。
- 情報発信にもいろんな形がある。どうメディアを利用していくかなど、具体的な記載が欲しい。
- 影になっていく文化に光をあてるとか、認めてあげるということが大事。次の文化を担う、消え入りそうな文化を引き上げるということが必要。
- 情報発信にもいろんな形がある。どうメディアを利用していくかなど、具体的な記載が欲しい。
- 「公文書館」のことがいきなり出てくるが、「公文書館」という言葉が果たして一般の県民の方に浸透しているのか。説明書きがいるのではないか。
(3)県民や地域にとっての文化振興拠点の役割について
- 「資料2」6ページや、資料3の整理の仕方が少し釈然としない。「人を扱う」のはどこでやるのか。拠点という以上、人を支援するとかのソフト的な拠点があってもいい。ハードだと限定されてしまう。ハコモノと違う拠点も考えて欲しい。
- ハードばっかりでハートが無いと拠点の役割を果たせない。ハートの中には学芸員がいたり、研究する人がいたり、案内する人がいる。ハードだけでなくハートがくっついている前提で話が進んできている。文化はハコモノでやっているわけではない。ハコモノを動かしている人が大事である。。
- 拠点はあくまでも施策を実施するための機能を持った場所でしかない。まずブレーンありきである。どこでその機能を果たすか、なければ作るのか、バーチャルなものか、実際的なものかといったことがあると思うが、システムそのものを作る必要がある。
- 人的な拠点が大切。ハコモノには必ず学芸員などの人がいる。それにプラスして一般県民がいる。建物を機能させるための人たちをまず確保する。「身近な文化に触れる場所」プラス、地元の文化に携わっている人たちが拠点にアクセスできる機能を考える必要がある。学芸員プラスNPOとか。公共を皆で担うことにもつながる。。
- 身近な拠点、例えば市町の施設などがどのように管理運営されているか、現状は予算の面でみな大変である。それで思う存分活動できるのか。郡部で立派な施設が競うように建設されたが、なかには365日のうち40日しか使われていないとか、そんな状況では指定管理者も名乗りを上げてこないだろう。こういった現状もきちんと書かねばならない。これらの施設は市町が管理しているといっても、県の立場で、連携といった点も踏まえて押さえて欲しい。
- 県が拠点を作っていくのは難しい。各地で活動している方とかをどういう手法で集めてくるかとか、直接来るのか、情報でつなげるのか、こちらから出て行くのか、どうやってつなげるかの方法をしかりしないと、行政の作ったものにはありがちだが、ごく限られた人たちだけが集うことになってしまう。つなげるシステムが必要である。
- 拠点の中に市民活動交流センターが入っていない。公文書館も入れていいのではないか。今、一番稼動しているのは図書館である。県内全ての市町の図書館とネットワーク化し、県立図書館を通じて収蔵図書が全て検索できるシステムを作っている。美術館や博物館もすでに館どうしで収蔵品の貸し借りを日常茶飯事にやっている。そういう点を上手に機能するようにしていくのが県の役割ではないか。
- 桑名市の図書館では民間の運営手法を導入して、過去に比べて非常に高いサービスレベルになった。暗い話ばかりでなく、お金をかけなくても一生懸命やっている成功事例を書いて欲しい。
(4)「文化と知的探求の拠点」づくりの考え方と展開方向について
- 「資料4」の「企画立案機能」欄が空欄になっているが、図書館の読み聞かせや、ミュージアムティーチャ―とか、市民提案型の講座など、市民と一緒になった企画立案はいろいろやっているはず。
- そもそも企画立案がなければ施設の機能を果たすことが不可能である。連携についても、自分たちに強みもあるが弱みもあるので連携が必要となる。やりたいことがあるが自分たちだけでできないときに連携してやればよい。
- マスコミも面白い企画なら取材に行きたいと思う。それが情報提供にもつながる。
- 「企画立案」の欄は急遽入れたため、書けなかったのではないか。これから現場で調べて埋めていただきたい。
- 「資料5」機能連携のレファレンスの事例に関して、人はそれぞれいろんなところに相談をもちかける。ポータル(入口)をひとつにすることや、あるいはいろんなところに用意することがありえる。問合せできるとか、窓口たりえるとかいうサービスが、文化振興のひとつの形につながるのではないか。
- 桑名市の図書館では問合せに対して必ず記録をとり、デジタル化して職員で共有することで、また同じような問合せがあったときに対応できるようにしている。ネット上にもあげようかと考えているところである。県が情報を集約して、ネット上でのそういうやり方ができれば良い。
- 図書館なら県内の図書館の館長さんたちが集まっている場でそういう連携の話が出ればできる、というのもあるが、任意の人たちだけでやるのでなく、それこそ県の役割ではないか。民間レベルでしていることを県がいかにシステム化していくかである。
- 民間も公立もそれぞれ良い面、悪い面がある。桑名市立図書館のPFIや伊勢市の指定管理者のケースなど、情報共有すればいいのではないか。
- 文化振興そのものと文化振興を推進する拠点の整備とは別物である。文化振興の中に拠点を通じた活動がある。お金やインストラクターの派遣など、地域に対してどのような支援ができるのか、施策として拠点から発信していく。ここの部分を充実させることにより文化振興していくという流れになるのではないか。ぜひ整理して欲しい。
- ぜひ、「三重の文化振興方針」のリーフレットを分かりやすい言葉で作って、駅に置いたり、子どもたちにも渡すようにして欲しい。
《配布資料》
- 事項書
- 出席者名簿
- 配席図
《検討資料》
- 第3回文化振興拠点部会 検討の進め方
- 資料1 「三重の文化振興方針(仮称)」骨子案
- 資料1-2 平成19年度第3回定例会総務生活常任委員会について
- 資料2 文化振興基本方向についての考え方
- 資料3 身近な拠点から広域の拠点へ (参考)
- 資料4 文化振興拠点に求められる機能
- 資料5 文化振興拠点間における連携の事例
- 資料6 文化振興拠点における連携の模式図
- 資料7 各施設の連携についての考え方
《参考資料》
- 参考資料 県立施設の連携の取り組み状況と考え 別紙1 別紙2 別紙3