平成19年度第5回三重県文化審議会結果概要
日時 平成20年1月29日(火曜)13時から16時
会場 JA三重 健保会館 3階 大会議室
1 要旨
平成20年1月29日午後、JA三重健保会館3階大会議室において、第5回三重県文化審議会を開催し、「三重の文化振興方針(仮称)」(答申案)及び「新博物館のあり方について」(答申案)について、審議を行いました。
2 審議内容
「三重の文化振興方針(仮称)」(答申案)および「新博物館のあり方について」(答申案)について審議を行い、概ね原案が了承され、平成20年2月4日に会長から知事あて答申されることになりました。
審議のようす
3 委員から出された主な質問・意見
(1)「三重の文化振興方針(仮称)」(答申案)について
「はじめに」と「第1章」
- 2ページの「新博物館整備の必要性」からはじまる段落は、1行空けた方が良い。
- 5ページの基本目標はこの2つでよいのか。文化振興によって人と人がつながって絆が深まる、ということをもっと強調しなくてよいか。
- 基本目標の2番目の頭に「個々が連携し」のように入れたらどうか。
- 人と人とのつながりについては今までの議論の前提にしている。言葉を入れるとすると、「個人が人とつながる」か?
- 「はじめに」の1ページ、下から9行目「本審議会では」で始まる部分は、拠点と施設の関係が逆になっていると思う。施設が先にあるのではなく、我々が考える拠点になるものとして、施設があるからそれを充てようということである。表現に気をつけて欲しい。
- 「はじめに」が固い文章なのでもう少し読みやすくならないか。
「第2章」
- 11ページ、「(その中でも博物館の充実は最も急がれる課題でしょう。)」の部分は、唐突なので削除する。博物館整備の必要性は23ページに書いてあるので十分である。
- 10ページ、「子どもたちの実体験の不足や活字離れ」の部分で、「NPO等の団体などが、フィールドワークやワークショップなどにより、多様な体験の機会を提供していくことが求められます」とあるが、家庭・学校でまずそういう機会を提供することを大事にしないと困る。学校や地域社会で促進すると同時に団体等がサポートするという言い回しにすべき。
- 10ページ、「家庭や地域で育まれる生活文化の発展と継承の危機」の部分で、「図書や行事などによりひろめ」とあるが、具体的に「図書」や「行事」が何を指すのか書いたほうが分かりやすくなる。
「第3章」と「第4章」
- 第1章のところと同じく、拠点と施設の関係が逆になっている。
- 13ページ、美術館のところの記述について、文章は格調高いが、美術館には、ゆったりとくつろげる面もあるのに、そのような雰囲気が入っていない。後ろの部分に「・・・感性を育み、訪れる人が心のゆとりを得る」のように追記してはどうか。市町の図書館も高齢者がよくのんびりと訪れていたりする。県立がその役割でいいかは別として、美術館以外の施設もそういう面があるのではないか。
- 16ページなどを読むと、拠点を身近なアクセスポイント(「身近な拠点」)ともう少し大きな拠点(「文化と知的探求の拠点」)に分けて、「身近な拠点」を「誰にでも文化に接する権利を保障していくためのアクセスポイントとしての役割が重要」としているが、15ページの文化振興拠点の定義ではそれが見えてこない。もっと身近な拠点が重要だと感じられる書き方にすべき。
- 12ページ、13ページの基本方向にこの方針の特徴が表れているが、この方針では拠点に注目しながら生き生き生活する県民の立場に立った文化振興を大事にしようとしている。どこかで「オリジナルな文化を創造する」という点を強調しなくてよいか。例えば「方向4」の「創造する、生かす」の内容は決して創造する内容になっておらず、生かす視点の方が強調されている。「創造」という言葉は散見されるが、強調されていないので、「新しい文化を創り出す」面をどこかにもっと書いたほうが良いのでは。
- 13ページ、「方向3」の「つながる、発信する」では一人ひとりがつながるということがあまり強調されていない。ここでは世界や他地域とつながることしか書かれておらず、後ろの記述の「互いにふれ親しみ交流できること」が生かされていない。「人とつながる」ことをもう少し強調したほうが良い。
- 「方向1」で去年策定された「三重の文化芸術振興方策」のときからそうだが、「広げる」と「高める」を一緒にしているので、行政的にはどうしても「広げる」方にばかり眼が行きがち。「高める」により世界に発信できるだけの県民が出てきて欲しいし、そういうことを応援したい。
「第5章」
- 25ページ、「連携の具体例」のひとつに学校・教育委員会を上げているが、博物館がどんなことをやっているかを積極的に学校・教育委員会へ情報公開すべきで、そのこともここへ入れたほうがよい。学校・教育委員会だけでなく、他にもあてはまるので、「ウ 連携・交流面からの充実強化」の本文へも積極的に情報公開するということを入れるべき。
- 拠点は一方から一方へ打って出るのではなく、両方からアクセスできることがポイント。学校からも博物館へアクセスするといったことも表現しないといけない。
「全体として」
- 拠点での主役は誰かといった表現がもっとあってもよかったか。生の生命感が乏しい気がする。県民が主役ということは最初から議論しているが、あまりアピールされていないかもしれない。
- 博物館のあり方が頭にあり、どうしても過去のものを大事にという視点になっているが、新しいもの、我々が考えても見なかった文化芸術が出てきてそれを支えるといった視点が、議論を重ねる中で抜け落ちていったかもしれない。
- 文化の新分野をつくっていく「創造」のことは31ページ「多様なプラットフォームの展開」の部分に入っている。
- 「はじめに」があるので「おわりに」も必要ではないか。拠点となる施設について、これからどう経営していくのかは各館長。答申して、現場へこの方針を落としたときに、どういう運営管理がなされるべきか、「おわりに」の部分に入れてはどうか。
- それは30ページ「県の役割」に入っていると思う。拠点間の連携を大事にとか、県が文化振興をやっていくなかで拠点に関わる中間支援的団体や企業などをパートナーとすることなどを、答申として、県の役割としてこういうことを期待している、と書いている。
- 書かれている場所や強調の仕方についてはいろいろあるが、中身としては全部今までの議論が入っていると思う。余情的なものを「おわりに」に入れるといいか。
(2)「新博物館のあり方について」(答申案)について
- 「文化」という言葉が、方針より狭い意味で使われているのがやや気になるが、この中では統一されているのでよいか。
- 用語で「みえの博物館ネットワーク(仮称)」という言葉があるが、普通に「三重博物館ネットワーク」というよりもかなり固有名詞的で、今後この言葉が独り歩きしていかないか心配。
- 名称としてはいい名前だと思う。特に抵抗がなければこのままで、「(仮称)」をつけて出していきたい。
- 別紙になっている用語の説明で、「アイデンティティ」と「レファレンス」の記述内容が気になる。「アイデンティティ」は心理学上の用語として説明された文章から引っ張っているようだが、「新博物館のあり方について」の中ではそういう使い方ではない。学問的な言葉の説明でなく、文章でどう使っているかの注釈にすべき。
- 全体的なことで、「三重の文化振興方針(仮称)」の答申案と「新博物館のあり方について」の答申案とでは性格が随分異なる。方針は努力してもらえばよいが、博物館の方は、この博物館ができてもらわなければならない。過去に博物館整備は2回流れているが、他の文化施設、文化会館や図書館、生涯学習センター、美術館などは作られている。なぜ博物館は流れて他はできたのか、財政的な事情の他の側面がある。必要性のコンセンサス(合意、意見の一致)か。私的な見解だが、文化会館、図書館などは賛成とか反対ということではなく、「あるべきもの」と思う。博物館については、「あるべきもの」だという暗黙の了解、コンセンサスが弱かったのではないか。意見交換会で県民から「借金してでも作るべき」という意見も出ているが、一般的な意見ではないという見方もできる。いろんな人の距離感、乖離を埋めなければ博物館はできない。コンセンサスができれば、お金の問題とは違った見方ができてくる。
- 大勢の人が、博物館が「あるべきもの」だと言うかどうかは、その地域の文化度でもある。
- 総合文化センターができたとき、今からでは考えられないような資金を投じて作られた。なぜそこに博物館が入・轤ネかったのか。美術館も改築されている。過去の経緯を見ても、博物館には眼が向けられていない。三重の文化振興方針ができて、組織も来年度から生活・文化部に新しく変わり、文化振興室で生涯学習施設が全て管轄されるまさにこの時期に施設の基本的なあり方が議論され、新博物館が提案されている。タイミングを見てもそういう時期だということを、答申の中に入れて欲しい。
- 新博物館をぜひ作って欲しい。コンセンサスの乖離も埋めて欲しい。熱意を何らかの形で感じさせるものを、答申に入れていただきたい。
- 本文に入れるのは難しいかもしれない。第1案として、資料4に答申の文書があるが、ここに書く。第2案として、答申するときに口頭で強くいうということでどうか。
- 委員の熱意を答申の文書に入れるという話が第5回新博物館のあり方部会で出たが、答申の文書は外にはあまり出て行かないので、本文の中に入れることにした。前の案よりは雰囲気が出ていると思う。ただ中身を熟読するとも限らないので、重ねて答申の文書にも一言入れ、口頭でも伝えていただくか。
- 知事に答申するとき、それぞれの県が博物館を持つことの意味を込めて言うべきではないか。他県にあって三重県にないことが、どんな問題なのか。他県ではこういう位置づけをして文化を発信する拠点となる決定的な役割を果たしており、博物館がないことが恥ずかしいことだといったことが入れられないか。
- それは「はじめに」の1行目に入れてもいいのでは。
- 子どもは自然・動植物・恐竜などが好きで、それがどこに収蔵されていてどこで実物が見られるのか、それが博物館で、となる。それが今ない。最近の子どもは理科離れと言われているが、チャンスもなかったのかもしれない。
- 県民意見でも消えゆく自然のこととか、環境のことが言われている。ぜひ三重県に博物館が欲しい。
- 新博物館は委員だけでなく、県民皆の熱意だと強調して書きたい。
(3)答申の文書について
- 答申の文書に熱意を込めるということだが、博物館だけ特出しして書いてもおり、さらにあまりくどくどと書くのもどうか。
- 「総合的に取り組まれることを期待します」とあるが、何に取り組むのかが分からないので、文化振興に取り組む、と修正したい。
- 博物館について「早急に整備」とあるが、「建設」とは書かないのか。単に整備というと今のところを改修してと捉えられたりしないか。
- 建物だけではなく、職員の確保や博物館活動のグレードアップも言っているので「整備」としている。「新博物館」とあるので、充分ではないか。「新博物館のあり方について」の本文の方にしっかり建設のことも書いてあるのでよい。
- 答申の文書は簡素な方がよいのであまり変えないほうが良い。
- 「基本構想を策定され」とあるが、「基本計画」ではないか。県が「基本構想」に戻ってやり直す、後退したと捉えられかねない。
- 答申の文書については「基本計画」と明記して、熱意はうまく文章に入れられなければ口頭で伝えるということで、会長に一任したい。
《配布資料》
- 事項書
- 審議会名簿
- 配席図
- 資料1 「三重の文化振興方針(仮称)」(答申案) 概念図 参考資料
- 資料1-2 「三重の文化振興方針(仮称)」の今後の進め方について 1 2 3
- 資料2 「新博物館のあり方について」(答申案) 概念図 参考資料 1 2 3 4 5 6
- 資料3 県民等からの意見概要について 表紙 1 2 3 4 5 6 7
- 資料4 答申について
- 資料5 今後のスケジュール
〈会議議事録〉
- 詳しい会議の議事録はこちらからご覧いただけます。