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平成21年04月16日

三重の文化

第60回みえ県展 審査評

大賞審査評 

 全作品を通して大賞1点という重みと責任を感じながら審査員全員が慎重に選考に臨んだ。
 日本画、洋画、彫刻、工芸、写真、書の各部門とも審査員の審美眼により推挙された最優秀作品はいずれも存在感があり、その中から1点に絞ることは至難な事であった。
 全審査員(30名)の投票で決する事とし、投票前に各主任より簡潔な推挙説明を受け、所属部門への投票は不可を確認し、それぞれが一票を投じた。
 第一回の結果では6作品の内、洋画、彫刻、書の作品が同点となり、3作品について2回目の投票を行い洋画と彫刻が再度同点となる接戦でありました。三回目の投票の結果、洋画部門、北川五郎さんの「08-8風韻」が大賞と決定しました。
大賞作品では研き澄まされた感性と確かな技量に裏付けられ、まさに第60回展という節目に相応しい作品であり、今度一層の活躍が期待されます。

黒田 賢一(大賞審査主任/書部門審査主任)


日本画部門審査評 

 今回の応募作品は60点、昨年より20点近く増えたということで喜ばしい傾向です。日本画というとどうしても技術的な修練を積まなければいけないとか、伝統的な制約が多いとかいうことで、二の足を踏んでしまいがちなのですが、もっと楽しんで、楽な気持ちで作品の制作に向かっていただきたいと思います。そうした気持ちが観る人々にもきっと伝わっていくことでしょう。描くことの楽しさや、感動したことを素直に、一生懸命に伝えようとすることが、やはり表現することの基本になると思います。
 最優秀賞の蒔田恭子さん「天空の修道院」には、細部から全体の構図に至るまで完成された力強さと、手を抜かない繊細さが同居しこの賞にふさわしい作品です。優秀賞の伊藤江美子さん「revue」は点描を主体とした表現で、非常に面白い画面を構成しています。日本画にもこのような新しい試みが出来ることを見ていただきたい。同じ賞の伊藤安男さん「石段の径」は対照的にオーソドックスな技法と構図で描き切った作品です。岡田和子さん「農家の片隅」はその発想の面白さを買いました。 原啓二郎さん「ブーケを持った少女」は背景と人物のバランスの良さで次の作品への期待も含み岡田賞に、北島修さん「残された刻」の枯れたひまわりの存在感、泉正幸さん「漁夫」の色彩の絶妙な配置、中山春江さん「日・昇る」の叙情的風景表現など、多くの収穫のあった作品でした。
 次回以降にも、多くの方々に多様な表現に挑戦していただくよう期待します。

日本画部門審査主任 吉田 俊英


洋画部門審査評 

 第1次と2次の審査において、先ず81点を選出、その中から18点の賞候補を選び、投票によって計8点の受賞作品を決定した。
 今回大賞に輝いた北井五郎は長年、県展の上位入賞のキャリアを積みながら常に新鮮で独創的な意欲作を発表してきたが、今回も素材の味を活かして透明感のある傑作になった。優秀賞の前野知恵子は誠実な仕事で樹間の空気をかもしだしている。もう一方の優秀賞、上田慎二は、自然の中の小さな命を拡大し玉蛙のレンズを透視して現代社会を「睨む」独特の表現が評価された。県市長会賞の藤田万智子も県展の常連組であるが、今回はブルーとホワイトのコンビネーションを軽快なタッチで構成して新鮮味を出した。中日賞の谷川勉は、やわらかい色調で平面空間を創出した若々しい作品であるが、年令はすでに熟達の域であることを知り感動した。自然の恵み賞の中尾範子は泥の中のわずかな紅蓮の光が画面をひきしめている。
岡田文化財団賞の石飛きよ子は、補色関係のけばけばしさを力強い構成でまとめ、インパクトのある作品であり、今後の活躍を期待して本賞に選ばれた。今回新しく加えられた for your Dream賞の川口みどりは、中間色で構成しながら、ひっかき技法で透明感を出し、夢の中の「とんび」を美しく表現し本賞にふさわしい評価になった。
 今回の審査に当たって、総合的な印象としては、昨年とくらべてややマンネリ的な傾向を感じた。つまり確かなメチエに基づく実験的な姿勢よりも安全牌に止めるような作品になっているように思われた。「大賞」という目玉をかかげる、三重県展の質的向上のためにも視覚をとおしてエスプリに訴える作品が、もっともっと多く出てくることを期待したい。

洋画部門審査主任 田島 健次


彫刻部門審査評 

 幸か不幸か今年も審査評を書かねばならなくなった。さらに幸か不幸か応募作品数が23点と少なく、その中で最優秀賞が「KATAMUKI・カタムキ」の宮永正文さんの連続受賞となった。といっても決して彫刻部門にマイナスイメージを印象づけるつもりはない。実際審査は出品作品全般にわたり、かなり真剣な討論が重ねられた。先ず全作品一点毎に委員の挙手により入選作品候補13点を選びだし、次に賞候補を選ぶ投票によって、圧倒的な支持を得て宮永さんの最優秀賞が決まった。宮永さんの枕木を重厚に長方形に組んだ作品は、木の素材の扱い、作品化する志の大きさ、完成密度の高さなど爽やかに審査する者の心を捉えた。宮永さんが昨年の受賞者であることなど全く話題にする余地はなかった。こうして満票の最優秀賞に次ぐ優秀賞候補3点の中から投票と各委員の評を併せて平田茂さんの「波動の弧」が優秀賞に決定。そしてこれまでに三重県展で受賞暦のない鈴木律子さんの木彫「大地」が岡田文化財団賞、続いてすでに評価を受けているがさらに堅実な制作を奨励する中日新聞社賞には竹重麻紀子さんの「対の記憶」、確かな彫塑の造形力を示す横田千明さんの「りんりん」、すばらしきみえ賞にはステンレスによる「キュープの情景」で76歳の笠井幸弘さんが、またfor your Dream 賞は若い19歳の高橋美帆さんの「夢」と結果としてそれぞれふさわしい受賞になったと思う。
 審査を終えてみると入選から外れるべきでない美しいまた誠実さに満ちた作品がいくつもあった。また残念ながら展示されない作品、入選して惜しくも受賞を逃した出品者の中には、十代の人も含まれていて、審査員の中に大いに期待する声があったことを付言しておきたい。

彫刻部門審査主任 古川 秀昭


工芸部門審査評 

 工芸部門の応募総数は106点で、50点が入選と決まりました。
 審査会場を見渡したところ、飛び抜けた作品が少なく実力が伯仲しておりました。これは審査員の皆さんの意見でもあります。
 この県展は、公開審査と言う特徴を持っておられますから詳しく審査の経過を書きます。
 先ず第一回の投票で過半数を獲得した作品は27点で入選となりました。それ以外の作品を、0票であったものも全部をもう一度丁寧に見て投票いたし過半数が29点出ましたが、第一回目と合せると56点となり、会場の展示場所の関係から入選枠が47点と決まっておりましたから二回目の29点について再投票いたし13点が決まり、合せて50点となりました。ここで協議をして、このまま入選と決定いたしました。
 先にも書きましたが、偶々結果のよくなかった方も、次には是非、頑張っていただき、よい成績を上げていただきたいものです。
 入賞作品は、候補を選び計議いたし投票もしながら決まりました。大賞の作品は陶芸で題が「羽衣」で、衣と言ふか、布目と叢雲風な表現に新鮮さを覚え、作者の工夫と努力が解ります花器で、衒いのないところが好感を持たれ全員一致で決まりました。優秀賞の2点は、1つは壁面のもので、伊勢型紙の土地にあって其の仕事にステンレスの線をつかって立体性を狙った野心作です。もう1つは神代杉の短冊箱ですが、用に徹したと言ふか、使い手の立場に立って作られた工芸の基本を踏えた制作目的がはっきりした作品です。
 陶芸が多くありましたが、木工、人形、或は伊勢型紙などの作品に期待が持てるものがあって楽しみです。

工芸部門審査主任 鈴木 藏


写真部門審査評  

 二年ぶりに写真部門の審査を担当しました。応募作品は393点で、前回より減少しましたが、題材は多岐にわたり技術水準も高く、全体のレベルは向上しているように感じました。その中から入賞8点、入選191点の合計199作品を選出しました。
 大勢の出品者が見守るなかでの公開審査は審査員にとってかなりのプレッシャーとなりますが、背中に感じる熱気に後押しされて審査にも力が入り、大変よい結果でまとめることができたと思います。
 ただ今回は、モノクローム作品のプリント仕上げについて気になることがありました。三重県の県展は優れたモノクローム作品の出品に定評がありますが、今回は応募数が減り、全国的に暗部が黒くつぶれて白から黒に至る諧調に乏しいのです。それに比べて、カラーは従来の銀塩プリントに加え、デジタルプリントの技術が向上して、自然な色調できれいに仕上がっていました。モノクローム本来の美しさと力強さを生かした、精度の高い作品作りをめざして一層の奮起を望みます。
 また、作品のタイトルについてですが、漢字を並べただけの紋切型、写真の内容に不釣合いなオーバーなもの、作者の意図がよく伝わってこないものなどがありました。主題をよく見極め、人の心を捉える、魅力的なタイトルをつけてほしいものです。
 今回の最優秀賞、宮﨑理恵さんの「雙」は、微笑む少女とやんちゃな少年の笑顔のクローズアップを、顔半分にフレーミングした2枚構成の作品。ポートレートの常識を破った斬新な表現です。県議会議長賞、逵中美知子さんの「フレンド」は、敵と出くわしてしまったのでしょうか、4匹の猫が尻尾を太くして威嚇している場面をユーモラスに捉えた力量が評価されました。教育委員会委員長、西岡文弘さんの「20才の桂子さん」は、祖母と母親が持つ花柄模様の布地をバックにした振袖姿の娘さん。成人式に寄せる家族の愛情が感じられる秀作です。来年も、撮影者のメッセージの託された、魅力あふれる作品を多数お寄せ下さる事を期待します。

写真部門審査主任 英 伸三


書部門審査評 

 書は白と黒の単純表現であります。しかし、古くから老熟または老境の芸術といわれるように、この単純表現が一朝一夕にできるものではありません。従って、千数百年もの間、文化として受け継がれて来たのでしょう。
 先人達は長年の試行錯誤の蓄積により、それぞれの書風を打ち立ててきました。ただ好き勝手に書くことが決して個性ではありません。即ち、古典、古筆を十分に臨書して、基本となる線や呼吸、間合いや余白を習得する。それらが血となり肉となり、自らを表現する骨格を形成し、そこに各々の「こころ」が加味され造形芸術として成り立たせてきました。
 この度の審査で感じましたことは、特に入賞作品は個性が少なからず表出され、他の作品と比べて何か光るものがありました。書き手の「こころ」が現れていました。
 書は年月のキャリアも必要ですが、それ以上に目的意識を持ってどれだけ書き込んだか、 どれだけ気持ちを作品に注ぎ込んだかが重要です。
 上位三賞について短評を記してみます。
 最優秀賞(かな)伊勢神宮にて、荒木さんの作品は、大字がなの力強さに流麗な動きを加え、白と黒の対比が美しく、心地よいリズム感と爽やかさが伝わってくる佳作である。
 優秀賞(漢字)杜甫の詩、伊藤さんは、古典を基盤にし、独自の風趣をかもし出している。全体構成も極めて明るく筆力旺盛な作品である。

 優秀賞(調私体)前田憲司の文、太田穂摂さんは、ねばりのある線とゆったりとした動きで紙面からほのぼのとした雰囲気が伝わり、好感を抱かせる作である。
 県展は中央展への登竜門でもあります。入選入賞された人、惜しくも届かなかった人も、今後一層の努力をされ、1本の線、1つの点をおろそかにせず、基本を繰り返し、人を感動させる作品を創って下さい。皆さんのこれからのご健闘を期待いたします。
 

書部門審査主任 黒田 賢一

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