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平成21年04月16日

三重の文化

第56回県展 審査評

大賞審査評

素材を生かした陶ならではの温もり。斬新意匠のシンプルなフォルム。凛とした存在感は重厚で力強い。まさに領域を超越した芸術的感性をこの工芸部門の作品にみた。

 大賞作品は各部門の最優秀作品6点の中から審査員全員の投票により選抜しました。候補作品はそれぞれの部門を代表する作品です。まず各部門の審査主任により、作品についての簡潔な説明を聞き、それに従って規定の選考方法により、一点を決めます。大変至難なことです。難航するのではと危惧しておりましたが、本年は工芸部門の作品が全審査員の2/3に及ぶ圧倒的な支持を得て、悠々と選ばれました。

 この作品はおしゃれなまでに現代の感性が伝統の技とここちよく調和しています。そんな不思議な魅力が多くの審査員の心を惹きつけたのだと思います。

上田保隆(大賞審査主任/洋画部門審査主任)


日本画部門審査評

 本年は日本画の出品数が9点減ったけれども、バラエティに富んだ好感の持てる作品が多かった。

 出品作57点のなかから入選作を選ぶため、一人でも審査員の手のあがった作品は、再度審査するなど慎重を期した。それらの中で28点の入選が決定したわけであるが、最優秀賞はベテランの北島修さん「青春群像」が仕留めた。

 日本画らしからぬモチーフに、新鮮な視覚で臨み、長年の研鑽が評価された。優秀賞(県議会議長賞)は岡田和子さんの「初夏」が安定感のある構図と落着いた色調から選ばれた。次いで優秀賞(教育委員長賞)の中山春江さん「遊園地」が、ダイナミックな構成と鮮度のある色彩が効果を上げ、注目された。三重県市長会長賞の植山直美さんは、天とう虫が枯枝に集まった情景を「集い」にまとめ、斬新な印象をあたえる。中日新聞社賞に決まった市川正子さんの「ある日」は、日常生活から主題を選び、人物に焦点をあて成功している。自然の恵み賞の宮原暁子さん「塩を焼く(御塩殿)」は、伊勢神宮ゆかりのかまどで塩を焼く様子を実直に捉え、ユニークである。岡田文化財団賞の長谷川とみ子さんの「祭」は、はっぴ姿の女性と背景の深みある色調が魅力的である。

 これら7点の入賞作は、いずれも甲乙つけがたく賞を決めるのに苦労したが、見るものに訴えかける力が強い作品が多くの指示を集めたと思う。入選作は女性が圧倒的に多く、日ごろの活発な創作活動が認められたものであるが、より若い方々の参加を是非とも期待したい。

日本画部門審査主任 金原宏行


洋画部門審査評

 本年の出品数244点は昨年より30点多い。しかし展示スペースの制約から、入選数は85点(34.8%)と大変な厳選になってしまった。

 出品作品の作風は多様であったが上限サイズの100号に近いものが多かった。おのずと入選作の大半は造形性に富んだ挑みのある作品が選ばれた。「最優秀賞」の川口みどり<つゆ草>は新鮮な色彩に秘めた感性とシャープな造形性が注目され満票で選ばれた。「優秀賞」2点のうち高橋秀典<池>は素朴なまでの自然観照とのびやかな色彩が好感度の評価を得た。また中西幸司<空の人>の清廉な人間感情を描いた世界には深く重い精神性がある。

 厳愛珠<Shadow>の影を生かした白い造形作品はフレッシュな空間が注目され「三重県市長会長賞」になった。藤田万智子<卓>の清新な感性とのびやかな表現は本年も安定した描写力を維持しており、連続して「中日新聞社賞」になった。

 奥田孝夫<雨上がる>の清らかなまでの自然描写は心のオアシスを詩情豊かに表現しており「自然の恵み賞」となった。「岡田文化財団賞」は新人奨励賞として注目されてきたが、本年の洋画部門で選ばれた岩名泰岳<Danrinの華>の斬新なマチエールによる白の世界は時空を超えた宇宙空間のようだ。審査後にわかったのだが、彼が最年少の入選者で17才だと聞き、まさにこの賞の意義を実感した。

洋画部門審査主任 上田保隆


彫刻部門審査評

 出品作品は20点。作風は具象、抽象と多様で・り、材料・技法も様々で、当落の判断も難しかった。

 5名の審査員によって入選作品12点を選んだ。その審査は、5名の審査員の挙手で4名以上の票が入った7点がまず選ばれた。残る作品のうち3名の票が入った作品は4点あったが、その他の作品も入選作品として入れ替え可能かどうかも視野も入れながら、残る作品について検討した。そして再度投票により5点を選び、計12点の入選作品を決めた。

 入選作品の中から、各審査員が5点列記する方法によって受賞作品を決めた。

 最優秀賞「実りの庭」(堀口昌宏)、優秀賞(県議会議長賞)「共鳴するかたちIII(地中エネルギー)」(青木良孝)、三重県市長会長賞「Figure2」(三藤徹)、中日新聞社賞「和」(前川和司)、すばらしきみえ賞「trip」(長谷川雅也)、岡田文化財団賞「裸の女王様と2本の城」(木原圭)

 木彫作品「実りの庭」は空間感覚がさわやかで、色付けも自然であり、肩の力を抜いた好感のもてる作品である。それに対してテラコッタ作品「共鳴するかたちIII(地中エネルギー)」はスタンダードな基盤に立ちながら新しさをみつけようとする力作である。「裸の女王様と2本の城」は主要なところに金属を用いて、現代の虚構性を鋭くついた作品となっている。「和」は枕木を使用した作品で、骨太で直線的な作品である。「Figure2」のレリーフ状のうすべったい人体像は不可思議な存在感を感じさせる。「trip」は石の具象作品で、ゆったりとほのぼのとした感じを持った作品である。

 最後に、技術的には秀れたものをもっていながら、作品としての主張がいまひとつ弱かったりするために残念ながら入選しなかった作品がみられたことを付記する。

彫刻部門審査主任 島田勝吾


工芸部門審査評

 最近いくつかの工芸関係公募展で感じていることは、審査会場に入ったとたん目にとびこんでくる作品が増えてきたことである。近年、ある高い水準で定着し、あまりに程度の低いもの、アマチュアすぎるもの、産業品との区別がつきがたいものなどが淘汰されていく傾向がはっきりとみられた。しかし一方で、驚き注目し感心する作品がいかに乏しかったことか。どうも全般的にそういう沈滞状況に変化が起きてきたようだ。

 その表れが「作品-2005 KEI」であり、「流風」である。前者は薄い土の板を重ねて作ったいくつかの部分を組み合わせて構して焼いたもので、その構成的フォルム、焼成時の変化による荒々しい感じ、よく吟味された焼肌による質感など、土の構築、焼成という陶芸の芸術としての根本をしっかりと踏まえた作品となっている。後者は墨流しのようなものを基本に紙を裁断して流れるような模様をつくり、それを台紙に貼ってレリーフ状のものをつくったり、型置きに吹きつけで模様をつくったりしたものである。円環の中を斜行したり波頭をつくったり、モノクロームの色彩とともに力強い画面となっている。「澪の刻」も含め、今回は型紙の伝統をベースに芸術的に高いレベルの力作が多かった。

 『陶胎象嵌「秋彩」』、「鉄結晶釉大鉢」は土の構築や釉技にベテランの安定した手堅さをみせた作品である。

 一方「VOICE~緋ノカラ~」はいかにも若者らしい活気にあふれた作品で、いわゆる乾漆技法を作者なりに解釈しなおし、作者なりの完成によって独特の質感をつくり出した。まさに岡田文化財団賞にふさわしい作品である。

 今後ともこうした力強い、また新鮮な作品をみせてくれることを望みたい。

工芸部門審査主任 金子賢治


写真部門審査評

 県展も56回目を迎え、写真部門に関しては大きな変わり目の時期に来ているように感じます。デジタル化の波、美術館やギャラリーでの写真作品の展示の多様化、時代そのものの混迷と閉塞感、―そういった状況が寄せられた作品にも反映してきているのではないでしょうか。

 最優秀賞を受賞した内田幸伸さんの「儚きもの」は、日常のさりげない事象を切り取る視線に独特の角度があり、内容的にも新鮮な作品になっています。こういう大胆な作品が最高賞を受賞したことは、作者の33歳という年齢を含めて、県展の未来に明るい展望をもたらすものであると思います。

 優秀賞の大杉茂さんの「えぇーき・も・ち・やぁ」は、温泉につかる日本猿を題材にした作品ですが、ブレの効果を生かした細やかな描写に見るべき所があります。同じく優秀賞の森下喜美子さんの「デジカメ時代」は、現代風俗をとらえた軽やかなスナップで、やはり時代の空気感を巧みに写し取っています。

 今回の入賞者7名中4名が女性だったこと、20代が2名、30代が2名と年齢が大幅に若返ったことも、とてもよかったと思います。もちろんベテランの方々にも、これまでの経験の蓄積を生かしてがんばっていただきたいのですが、新世代がより意欲的に冒険していくと、三重の写真界も活気づいてくるのではないでしょうか。

 ちょっと気づいたのは、タイトルのつけ方が無雑作過ぎるということでした。安易なタイトル、どこからか借りてきたようなタイトルがあまりにも多過ぎます。いくら写真がよくても、タイトルを聞いてがっくり力が抜けることがよくありました。

 写真と対話しながら、じっくりと考え、ぜひいい言葉をつかまえて下さい。

 最後に三重県文化会館のスタッフの方々をはじめ、運営に関わった皆様に心から御礼を申しあげます。

写真部門審査主任 飯沢耕太郎


書部門審査評

 展覧会への出品は、たとえそれが未完、拙劣、醸成の不足があろうと、創作という意欲のもとに繰り返される実験、試行錯誤の苦しみや温かみが感じられる時、その活動は尊く潤いに満ちている。さらに、目標を大きく掲げ、あらゆる出品の機会を捕え、ついには「書芸に遊ぶ」ゆとりと楽しさを生活の中心におけるような人生であってほしい。今回の出品にも、まさに命がけで生み出そうとするほどの迫真の作品も少なくなかったのはとても喜ばしい。当然のことながら、そのような作には感動し頭の下がる思いがした。

 書部門の総出品数211点の内訳は漢字138点、仮名28点、調和体37点、篆刻8。陳列可能数より各部に割り出したおよその点数をなるべく表現の多岐に及ぶように入選とした。部によっては優秀な作品も選外とならざるを得なかったのはなんとも残念なことだ。中には未消化のまま出品せざるをえなかった作や、判読の難しい個所や誤字と思しき書き方も見受けられ、反省の材料とすべきだ。

 受賞作品のうち、上位3点について言えば、最優秀賞(知事賞)・深見鈴苑氏の「三分の侠気」は余白を大胆に取り込みながら、渾身の力を集中した快作。紙面に切り込むような激しい運筆により生命の躍動感が漂う。

 県議会議長賞・阿部睦美氏「秋の歌」は強い穂先を存分に活躍させ、線状美と濃淡・潤滑の妙を鮮やかに謳いあげた。人々のこころに綾なす内奥の世界を暗示する。

 教育委員長賞・世古口玉扇氏「賈思伯碑」は楷書の結構を極限にまで凝縮し、高い文字の密度と余白のせめぎ合いの緊張感を見事に表現した。あたかも、混沌とした不条理の現世に、あくまでも厳しく凛として対峙するようだ。

書部門審査主任 菅生攝堂

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津市広明町13番地
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