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賓日館・二見館(度会郡二見町江)


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 賓日館は、明治19年(1886)組織された神苑会が二見浦に建築した宿泊施設である。当初の目的は20年に予定された「皇太后陛下ノ行啓ニ奉供センガ為」であり、石井三重県知事の勧めもあったという。20年2月19日に竣工し、3月7日両宮参拝のあと皇太后陛下を迎えた。また、「普ク公衆ノ請ニ応ジテ登館遊憩スルコト」もでき、「賓日館使用規定」によれば「観覧人通券料金五銭」「(飲食のための)席料、八畳参拾銭・六畳弐拾銭」で、海水浴や浴衣敷物に関しては「若松徳平ニ依托スルコト」としていた。若松徳平は別に二見館を経営していたが、37年11月には賓日館貸与の方針が決定され、「開館以来功労少ナカラザルノミナラズ、其住居相隣接シ、能ク館舎保存ヲ托スルニ適セル者」として同氏と貸借契約が結ばれ、神苑会解散間近の44年2月には同氏に売却された(『神苑会史料』)。『三重県案内』では、「今は二見館の別墅なる」とし、神苑会総裁の有栖川宮熾仁親王が書いた「賓日館の三大字」の紹介などがある。このように、賓日館は二見浦の名所で、夫婦岩とともに絵葉書などにもなり、そして、平成9年(1997)9月、賓日館は「再現することが容易でないもの」として、登録有形文化財に登録された(『三重県の文化財保護』)。

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