水産物

真珠


アコヤ貝などの体内にできる真珠は、古くから装身具として珍重されてきました。写真の資料は、のちに「真珠王」と言われた御木本幸吉が明治二三年(一八九〇)の第三回内国勧業博覧会に真珠を出品した際の目録ですが、このときの真珠は天然のものです。ただ、天然真珠の生成は極めて少なく、御木本は真珠養殖の必要性を強く感じていました。そうした折、この博覧会で東京帝国大学の箕作佳吉教授を紹介され、真珠養殖への第一歩を踏み出したということです。専門家の意見を聞きながら数々の実験を繰り返し、二六年に「貝付半円真珠」の養殖に成功し、二九年に特許が認められました。そして、実業家としても世界に志摩の真珠を売り出しました。

なお、真円真珠の養殖は、その後、御木本真珠場に勤めた桑原乙吉や御木本の娘婿西川藤吉、さらには的矢湾で実験を続けていた見瀬辰平らによって開発されました。こうして、三重県は真珠養殖の本場として、昭和四七年(一九七二)までは常に全国第一位の生産高がありましたが、現在は長崎・愛媛県と一〜三位を競っているようです。

御木本幸吉の天然真珠出品
御木本幸吉の天然真珠出品
 
 

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