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県下に多くの台風被害


 三重県の災害の歴史をまとめたものに『三重県災害史』という本があります。この本は昭和30年に亀山測候所が発行したものですが、我が県に災害を与えた暴風雨・火災・震災などをほとんど洩れなく記述しています。その中から昭和期の災害を二、三あげてみます。
 まず、初めは、昭和9年(1934)9月21日に近畿地方に上陸した室戸台風です。この台風は最低気圧911.9 ミリバールで、当時、全世界の観測所のなかでも最低気圧を記録するほどでした。
 県下での被害は、死傷者37人、損壊家屋 1,828戸、被害総額は1千万円にも上りました。
 次に、その室戸台風より大きな被害をもたらした台風は、昭和28年9月25 に県南部を直撃した13号台風です。台風の進路は、潮岬から入り、熊野市、伊勢市と北上し、最後は関東地方を経て海上へ抜けました。この台風の規模はさほど大きくはなかったのですが、三重県を通過した時、ちょうど満潮時と重なったために高浪が起こり、かつてない大被害をもたらしました。その内訳は、死傷者 3,541人、損壊家屋87,043戸、被害総額は 600億円を数え、県民は大変な苦労をしました。
 以上、『三重県災害史』から幾つか抜き出してお話しをしてきましたが、私たち三重県民がどうしても忘れることができない台風は、昭和34年9月26日に東海三県を襲った伊勢湾台風です。この台風は、豪雨、激しい風、高潮を伴いながら本県を縦断しました。その結果、死傷者 5,871人、被害総額1,826億円に達し、その被災地は、見るにたえないほどでした。政府も直ちに災害対策本部を設け、県と連携して災害復旧対策に力をいれました。
 最後になりましたが、三重県は、古くから台風・地震の被害を受けやすい土地柄ですから、県民の皆さんは地域・家庭において、万一の災害に備えてください。

(昭和62年9月 山口千代己)

川越付近の伊勢湾台風状況・堤防の欠損(朝田昭吉氏提供)

川越付近の伊勢湾台風状況・堤防の欠損(朝田昭吉氏提供)

川越付近の伊勢湾台風状況・浸水(朝田昭吉氏提供)

川越付近の伊勢湾台風状況・浸水(朝田昭吉氏提供)

川越付近の伊勢湾台風状況・家屋の倒壊(朝田昭吉氏提供)

川越付近の伊勢湾台風状況・家屋の倒壊(朝田昭吉氏提供)

参考文献

亀山測候所編『三重県災害史』昭和35年
三重県『伊勢湾台風災害誌』昭和36年

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