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戦前は多かった県内の図書館


 10月も半ばを過ぎますと、朝夕はちょっと肌寒さを感じます。でも、日中の過ごしやすさは格別ですね。さすがに秋という気がいたします。
 さて、秋といえば読書には最も適当な季節ですが、最近は図書館を利用される方が、大変多くなりました。県内の各図書館は、連日多くの利用者で賑わっています。
 一方、市町村の方でも、このところ図書館を作ろうという気運も盛んで、ちょっとしたブームになっています。最近できあがった大安町立図書館は、駅と図書館がひとつの建物になっているユニークなもので、図書館のある駅、ということで話題になりました。
 ところで、現在三重県内で、私たちが自由に利用できる図書館は、市町村立で13館ありますが、ここでちょっと明治や大正の頃の様子をのぞいてみましょう。
 明治45年(1912)の県の統計書によりますと、その当時の図書館の数は、公立私立あわせて15館となっており、現在とほぼ同じです。もっとも、利用者の方は、全部あわせて年間およそ6万5000人となっていますから、施設の数の割りには利用者の数は少なかったようです。
 それから15年後の大正15年(1926)になりますと、図書館の数は、なんと公立私立あわせて60館になっています。わずか15年の間に4倍にもなっているのです。ヨーロッパやアメリカの先進国に追いつけ、追い越せといった、当時の人々の知識欲がうかがえます。ちなみに利用者の数も大幅に増加して1年間で19万人という数字になっています。また、図書館の内訳を見てみますと、青年文庫とか、青年図書館とかいった、若い人達のための図書館もたくさん目につきます。
 こうした数多くの図書館も、その後は社会情勢の変化や戦争の影響を受けて、ほとんど消えていってしまいましたが、また再び、図書館建設のブームの波にのって、もっと、もっとたくさん図書館ができるといいですね。

(昭和61年10月 井上 壽)

昭和4年に竣工された四日市市市立図書館(絵はがき)

昭和4年に竣工された四日市市市立図書館(絵はがき)

現在の県内公立図書館一覧

現在の県内公立図書館一覧

参考文献

『三重県史』別編(統計)平成元年

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