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風情を今に残す東海道関宿


 鈴鹿郡関町は東海道47番目の宿場で、東海道の宿場町としては唯一、その風情を今に残しています。この町並みは昭和59年12月、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。これは、わが国にとって町並みとしての価値が特に高いものであると認められ、これからも保存していこうとするものです。このような保存地区に選定されているのは、合掌造りで有名な白川村や武家屋敷の並ぶ萩市など、全国に29カ所あります。関町は20番目に選定されました。
 関町の町並みは、伊勢別街道に入る東の追分から、大和街道の始まる西の追分との間、約1.8キロメートル。古い建物の復原修理が進み、その中心部は最近電柱を町並みの裏側に移すなど、宿場町の景観が甦りつつあります。
 町並みを東から西へ向かって歩いていきますと、やがて地蔵院が見えてきます。この地蔵院には国の重要文化財が三つあります。愛染堂と本堂と鐘楼です。本堂は、今から約 300年ほど前、それまで本堂であった愛染堂が手狭となったため、時の住職であった宣雅(せんが)の懸命な資金集めと、地元の人々や遠くは江戸・大阪の信者さんたちの様々な努力によって建てられたものです。この本堂と鐘楼は、昭和63年5月に指定されました。
 また、町並みの中程には、最近、昔のままに復元された町家が資料館になっていて、関宿の歴史をたどることができます。
 散策の途中で出会う人々と声をかけあったり、商店の古い看板や建物の格子戸に昔を偲びながら歩く時、何かしら温かさを感じるのはなぜなのでしょうか。開発などでこわされたりしてしまう前に、一つでも多く残して、後の人たちに伝えてあげたい、いいものを見つけると、そんなふうに気持ちが優しくなるのかもしれませんね。

(平成元年4月 山下みどり)

関宿町並み(四番丁から西方を望む)

関宿町並み(四番丁から西方を望む)

四番丁岩木屋立面図

四番丁岩木屋立面図

参考文献

三重県鈴鹿郡関町『関宿 伝統的建造物群保存地区調査報告』   昭和56年

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