三重県の代表的な天然記念物【植物】
田光のシデコブシ及び湿地植物群落(国指定)
シデコブシは東海地方の湧水のしみ出す丘陵地などに自生する樹木です。毎年3月下旬から4月上旬にはピンク色の可憐な花をたくさんつけます。
この群落にはシデコブシの他に東海地方特有のシラタマホシクサやミカワバイケイソウが生育しています。これらの植物は東海丘陵要素植物とよばれています。また、本来寒い地方の植物であるイワショウブ、ミカヅキグサ、希少な植物であるカザグルマ、トキソウ、サワシロギクなども生育しています。シデコブシは明るい環境を好む植物であり、侵入樹木の定期的な除去管理を行っていく必要があります。
(三重郡菰野町大字田光 平成17(2005)年3月2日国指定)
大島暖地性植物群落(国指定)
大島は紀伊長島港の沖合約5kmに位置する、東西約400m、南北約500mの無人の島です。その植生は、これまで人為の影響が少なく、熊野灘沿岸地域の本来の植生に近いものです。
島の内部にはスダジイ、タブノキ、ヤマモモなどで構成される照葉樹林が発達しており、その林床にはオオタニワタリをはじめメジロホオズキやキノクニスゲなど希少な植物が見られます。海浜部にはハマゴウやハマオモトの群落が見られましたが、最近は少なくなってきています。この島やその周辺には国指定の天然記念物であるカラスバトやカンムリウミスズメも確認されています。
なお、この植物群落内へ立ち入りは、学術調査や航行安全施設の保守などを除き原則的に認められていません。
(紀伊長島町長島2082 昭和32(1957)年7月10日指定)
七保のオハツキイチョウ
オハツキイチョウは、葉の上に実(ギンナン)のつくイチョウのことをいいます。イチョウは太古(中生代)の形態を残す植物の一つで、実や葉の分化が不完全なものもあるためか、葉に実がつく株が時折見られます。これが「オハツキイチョウ」です。
七保のオハツキイチョウは樹高約25m、胸高周囲約3mであり、オハツキイチョウとして知られているイチョウの中では県内最大級です。例年、たくさんのギンナンがなりますが「オハツキ」となる割合は年によって異なるようです。旧七保第一小学校の校庭にあり、子どもたちやPTA、地域の人たちから小学校のシンボルとして親しまれてきました。
(度会郡大宮町野原 昭和11 (1936)年1月22日 県指定)
鎌ヶ岳のブナ原始林
鎌ヶ岳は御在所岳の南にある標高1161mの山です。ブナの原始林(自然林)は標高1000m以上の北東及び北斜面にあります。特に、北東斜面の群落は、樹高15mほどのブナが優占しており、ミズナラやカエデ類、シロヤシオやベニドウダンなどもみられます。林床はスズタケが密生しています。これらは、ブナ-スズタケ群集として太平洋側ブナ林の特徴を示しています。また、この付近は日本海気候の吹き出し山地で、ヒメモチやハイイヌガヤなど日本海要素とよばれる植物が見られることも特徴です。
(三重郡菰野町菰野8505 昭和38(1963)年1月11日指定)