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みえの文化びと詳細

地域 東紀州地域
名前 塩崎 哲哉

塩崎 哲哉さん
塩崎 哲哉さん

プロフィール 昭和26年 熊野市木本町生まれ
大学卒業後、南牟婁郡と熊野市の中学校で理科の教師として教鞭をとり、平成23年、熊野市立入鹿中学校校長を最後に定年退職。

(現在の活動)
・日本蜘蛛学会会員
・三重クモ談話会会員 
・中部蜘蛛懇談会会員
・東京蜘蛛談話会会員
・関西クモ研究会会員
・三重自然誌の会会員
・南紀生物同好会会員
・熊野の自然を考える会会員
記事  「研究対象としてクモを選んだ理由は?」と開口一番に訊ねると、「人がやらないものを研究しようと思ったから」とニッコリ。
 「蝶やトンボはすでに皆調べているでしょう。でもクモを調べている人はあまりいませんでした。また、その生態や生活史などよく分かっていないことも多く、不思議な生き物であることも魅力でした。まだ名前の付いていないものもたくさんいるんです。」
と静かに語りはじめました。

 塩崎さんがクモの研究を始めたのは、30数年前になります。その頃国内で発見されているクモは900種ほどでしたが、現在は1500種以上に増えています。それだけ新種の発見、新記録種の発見が凄まじい、まだこれから研究される生き物ということでした。
 実は、話を伺うにあたり、お部屋にはクモの飼育ケースがおびただしく並んでいるんじゃないか・・・と恐る恐るお邪魔しましたが、「現在は飼育していません。」とのこと。クモの一生を飼育し観察するのは非常に難しいそうです。
 お話の途中で、「壁には標本がずらりと並んでいるかと思っていましたが」と、一番気になっていたことを切り出すと、「その足元に積んでいるのが標本ですよ。」
 見ると、足元の机の下には、四角い箱が山のように積み上げられていました。「それ全部標本です。」と、塩崎さんは私がクモが苦手と見て取って、笑いながらおっしゃいます。そっと箱の中を見てみると、白いキャップの小さなガラス瓶がたくさん並んでいました。液浸標本です。標本というと、昆虫のように針で固定されてケースに並べられているものを想像していましたが、クモのように体の柔らかい生物はアルコールに浸して保存するのだと教えてくださいました。

◇活動内容
 塩崎さんは、日本蜘蛛学会をはじめ東京・中部・関西・三重にある同好会に所属し、活動しています。三重県は、海から山まで自然環境が豊かで、また、南北に細長く、北方のクモ・南方のクモも見られる、おもしろい所だそうです。そのように多様な地域性を持つ県内を中心に、県外も含めた各地で採集したクモの記録は、三重クモ談話会の会誌「しのびぐも」や三重自然誌の会の会誌「三重自然誌」などに報告書として掲載されています。
 他に、「嬉野史」、「紀勢町史」、「つし自然ガイドブック」、「三重県レッドデータブック」などにも分担執筆されているとのこと。
 また、三重クモ談話会のホームページ(http://miekumo.web.fc2.com/index.html)の作成も担当しており、その中に「クモ図鑑」を掲載されています。
 これまで、熊野古道センターや上野森林公園で開催された観察会などで、子どもから大人まで幅広い年代を対象に、クモの魅力や観察する楽しさを伝えてこられました。身近な地域に生息する生き物を知ることで、楽しみながら地域を知り、また、触れ合いを通し、自然に対する感性を育む一助になればと考えます。他にも、各地で開催される「三重しぜん文化祭」などの折りには、クモに関する写真パネルの展示などを行い、これまで大切に守られてきた身近な自然の魅力を伝えておられます。
 「クモについては、まだまだ分かっていないことが数多くあり、興味はつきません。今後もさらに研究していこうと思っています。クモを研究する人は少なく、メンバーも高齢化しているため、若い方の参加を期待しています。」と塩崎さんは結びました。
液浸標本
液浸標本
研究の様子
研究の様子
問い合わせ先  
e-mail shiozaki@quartz.ocn.ne.jp
ホームページ http://noyamaumi.web.fc2.com/index.html
取材機関 紀南地域活性化局
登録日 平成27年2月20日

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